きみに幸いあれ
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『お前はこの家の恥だ。まさかΩが産まれるなんて』

『自分の妹がΩなんて知られたらゾッとする』

『お前は買われたんだ』

頭の中で声が響く

あれ・・・
あたし窓から飛び降りて・・・?

目を擦り体を起こすと
見慣れぬ景色に目を丸くする
目の前には鉄格子。

飛び降りる前に感じていた苦しさがない。
発情期がおさまったのか。

それにしてもここはどこなのだろう
あの男に牢屋に閉じ込められたのだろうか?
小さな窓があり背伸びをして覗くと広がるのは海。
そういえばなんだか揺れているような気がする。
ここは船なのか。

「ここどこ・・・?」

自分は売られたのかもしれないと
嫌な汗が背中を伝う

思わず首輪と鍵を確認する
衣服は破られたままだが
首輪も鍵も無事だ

ふぅと息を吐き
壁を背もたれにうずくまる

ドタドタと足音と怒鳴り声が
近づいてくる

「おい!エース!走るんじゃねェよい!!」

「マルコ!起きてるぞ!」

声がした方を見てみると
黒髪で顔にソバカスがあり
上半身が裸の少年が
鉄格子に手をかけニコニコとしている

その格好に少し身体が強ばる

その後ろからは
金髪の変わった髪型をした男。
シャツを着てはいるが
前が開いており刺青が見える
黒髪の少年よりは幾分か年上だろう。

金髪の男と目が合うと
心臓がドクンと跳ねた

「エース!能力者かもしれねェんだから
あんまり近づくなよい!
お前・・・名前は?」

「・・・アリアです」

「アリアかァ!!
オレはエースだ!」

牢の間から手を出される
握手を求めているのだろうか
触っていいものか戸惑っていると
パシンと金髪の男が後ろから叩く

鉄格子の間から衣服を渡された

「そんな格好じゃ野郎どもの目に毒だよい」

胸元が大きく破かれた服をみて
確かに・・・なんて思いながら受け取った

着替えたら呼べと少年を引きずりながら出ていく

渡された服は膝丈の真っ白なワンピースだった

「着替えました」と少し大きな声で言うと
扉が開く

「似合うな!!」

「呑気な事言ってんなよい!
親父のとこに連れていくからねい。
とりあえず出てこれるかい?」

開かれた扉から出る

「悪いねい。念のためだ」

と紐がついた手錠と
腰にもロープを巻かれる。
手錠の紐は金髪の男。
腰のロープをエースという
少年が持つ形で歩くらしい。
大人しく金髪の男の後ろについていく





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