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ドスンと落とされたのは
ソファーの上

「さっさっと着替えろ」

「え?」

「あ?でかけねェのか」

「いくっ!」

「俺の気が変わらねェうちにさっさとしろ」

買ってもらった服を引っ張り出す
今日は短パンにTシャツにサンダルにした。

「これもだ」

頭にかけられたのは
昨日と同じローブ
視界が悪くなるし本当は着たくないが
着ないと外には出られないだろう
黙ってローブを着てた

「これとらないの?」

首輪を指さす

「海楼石じゃねェから
何の問題もないだろ」

ふんっと鼻で笑い
抱きかかえられる

コンコンとノックの音が聞こえた

「キッド用意できたか?」

「あァ。アリア行くぞ。」

ドアを開けるとキラーがいた

「キラーおはようっ」

「おはよう。よく寝れてるか?」

キラーの問い掛けに答えようとすると
グイッとキッドに引き寄せられた

「必要以上にコイツと喋んじゃねェ」

「キッドお前は・・・」
とキラーは溜息をついた

甲板に出るとさっと抱えあげられる

「あっ」

今日もキッドの腕の中なのか

「フード」

低く囁かれ
フードを深く被った

ドンドン歩いて行くキッドの服をギュッと掴む

「今日はどこに行くの・・・?」

無言で進む。
途中でキラーが何かを買っているのが
ちらりと見えた。

いつの間にか街を抜け
森へと来ていた。

フードの隙間から見えたのは
色とりどりの花が咲く景色

その綺麗な景色に息をのむ
本でしか見たことがない花が
目の前にたくさんあるのだ

驚くほど優しく
キッドがあたしを地面に降ろす

「ここ!凄く綺麗!!!」

「フードとってもいいぞ」

言われた通りにフードを取ると
視界が明るくなり
花が咲く場所の隣には湖がいあり
太陽の光でキラキラ輝いていた

「触ってもいいの?」

「・・・好きにしろ」

木陰にキッドとキラーは座った

それを見ながら本物の花に触ったり
匂いをかいだりした
花は本に書いてあったよりも
甘い匂いがする

キッドとキラーがいる
木陰に戻るとキラーは本を読み
キッドはいつの間にか寝ていた

「ここ凄く素敵な場所」

キッドが起きてしまわないように
小声でキラーに話しかける

「あァ。
キッドはアリアに見せてやるために
ここを探したんだ」

「え?」

「昨日街の人間に
ここの場所を聞いてな。
ここなら人目もないしフードも被らず
アリアも自由にできるだろ?」

「・・・フードはキッドが被らしてるだけ。」

「そう言ってやるな。お気に入りは
見せたくないんだろう。
こんなに執着するキッドは初めて見た」

「・・・ふーん」

腹減っただろも渡されたのは
キラーが買っていた紙袋
中身は林檎のパイとジュース。

「ありがとう」

急いで食べ終え
また花を触りに戻った


キッドがよくわからない。
酷い事をするのに
本屋に連れて行ってくれたり
今みたいに優しくされる。


湖の水を触ってみたり
花を摘んでいると
「アリア。そろそろ帰るぞ」

いつの間にか起きたキッドに言われ駆け寄った

「これ持って帰っていい?」

「・・・あァ」

言われる前にフードを被り
キッドが抱き上げやすいように
手を広げた

「はっ!素直じゃねェか」

我ながら単純だと思う
本当にキッドがこの場所を
探したかどうかなんてわからない。
キラーの言うことが嘘かもしれないが
連れてきてくれた事は変えようのない事実なのだ。

それが嬉しかった。

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