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2時間くらいだろうか
窓から外をみてぼうっと眺めていると
ドアが開く音がした

振り返るとやはりキッドで
出ていった頃に比べると
幾分か落ち着いた様子で
ほっと胸をなでおろす

「寝てたら仕置でもしてやろうと
思ったのになァ」

近寄ってきたキッドから
微かに鉄のような臭い

「・・・なにしてきたの?」

「あ?」

「鉄の臭いがする」

「くく、鉄の臭いじゃねェよ。
客の気分を害すような店に
お礼してきただけだ」

「そ、それって・・・」

グッと髪の毛を掴まれ
引き寄せられ肩を噛まれる
思わず顔を顰めてしまう

「っい」

「痛いじゃねェだろ
『気持ちいい』だ」

血が滲むそこに
舌を這わす
髪を掴まれたまま
ベットへと引きずられる

海楼石を嵌められたままのあたしは
歩くことなどはできるが
抵抗するには力が足りない

がぶりがぶりと
食べられてしまうんじゃないかというぐらい
いろいろな箇所に噛み付かれる

「やぁっ」

「あぁ?」

睨むその目に逆らえず
与えられた言葉を口にする

「ぅ『気持ち、いい』っ」

あたしのその言葉に満足げに口角を上げる

「店でフードがとれた時
嬉しそうな顔しただろ」

ベットへと放り投げられ
これから行われる行為に
カタカタと体が震える

昨日の夜とは違う
気が立っているのかもしれない

「し、してない」

恐怖で声が上擦る

「嘘ついてんじゃねーよ」

室内に置いてある電伝虫で
「こい」とだけ言い電伝虫を置いた

「海楼石外してやる」

「え?」

海楼石を外すと言ったキッド
しかしニヤリとしている所をみると
絶対に何かあるのだろう

「キッドどうした?」

部屋に入ってきたのはキラーだった

「コイツの海楼石外してやれ」

手首につけられた海楼石を外されると
体がだいぶ楽になる

「アリアに無茶してやるな」

「あ?コイツは俺のモンだ
どう扱おうが関係ねェだろ」

はぁと溜息をつき
あたしから離れてしまうきらーの
シャツの裾を思わず掴んでしまった

「アリアどうした?」

「・・・行かないで」

その言葉を口にした瞬間に
キッドの怒鳴り声が響く

「キラー!!さっさっと出てけ!」

あたしの手を優しく解き

「すまないな」

そう言い残して部屋を出ていく

キッドと2人になった部屋は空気が重い

「テメェの主人は誰だ?」

地を這うような低い声

「・・・キッド」

「その主の前で他の男に
媚売ってんじゃねェぞ。
躾がなってねェなァ?」


コートのポケットから
鎖がついたものを取り出し
「躾なきゃなァ」と言う

残忍に微笑んだ



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