H×H | ナノ


▼ 独りよがり

ゆさゆさと
身体を揺さぶられ
うっすらと目を開けると
愛しい人の顔

「んー、今何時?」

「もう夕方」

「うわ!寝すぎた!!」

がばっと起きあがると
イルミは昨日とは違うスーツを
着てきた

「わざと起こさなかったけどね」

「あたしはお留守番?」

「うん。家から出ちゃだめだから」

「・・・わかった。気をつけてね」

胸がチクチクと痛む

気を失うぐらい
めちゃくちゃに抱くのは
つぎの日あたしを
自由にさせないためなんじゃないかと思う。

玄関までイルミを送り
いってらっしゃいとキスをする

本当は行ってほしくない

女が絡む仕事はしてほしくない
それが本音。

お腹が空いていたことを思い出し
ルームサービスを頼む

しばらくすると
チャイムがなり
ドアを開けるとホテルマンが
食事を運んでくれる

「ありがとうございます」

「いえいえ!仕事ですから」

聞いたことのある声

パッとホテルマンの顔を見ると
金髪に整った顔に嘘臭い笑顔


「な・・・んで、シャルが?」

「久しぶり!探したんだよ?
全然見つからないと思ってたら
ゾルディックの長男に
囲われてるなんてねー
ヒソカは嫌いだけど感謝しなきゃね」

「今更なに?」

「久しぶりに会いに来たんじゃん!
ずっと長男がいるからさー
今日はラッキーだった」

シャルは
ズカズカと部屋を歩き
ソファーに腰掛ける

「だから。何できたの?
しかも囲われてるんじゃなくて
恋人だから」

「てゆーかさーアラタ。
自立したいんだと思ってた」

「え?」

「クロロの言いなりが嫌で
出てったんでしょ?」

「そ・・・だけど・・・」

「じゃあなんでこんなとこで
長男に飼われてるの?
そんな首輪までされて」

首つけられているチョーカーを触る

「あたしとイルミは恋人でっ・・・」

クロロの元を出たのは
一人で生きて行こうと思ったから
でもイルミと出会って飼われて
好きになり付き合った。
確かにクロロの元にいるのと
変わらないかもしれない
それでも好きだから一緒にいたいだけ
そこに気持ちがある
それだけで全然違う


「ふーん」

シャルは机に写真をばら撒く

どれもこれもいろんな
女と一緒にいるイルミ。
恋人のように
キスをしているものもある。

「仕事でだもん」

「そうだね。ハニートラップ的なやつだね。
でもさ、恋人いるのに普通しないでしょ」

「ふふ、イルミは仕事に一生懸命なだけ」

痛む胸を気付かれないように
気にしていないという態度をとる

「愛人にでものるつもり?」

「え?」

「ゾルディック家の長男だよ?
結婚しないとダメでしょ。
アラタと知り合ってからも
何回か有名な暗殺一家の娘と
お見合いしてるみたい。
で、今回結構話進んでるみたいだよ。
今日もそこと会食みたいだけど」

写真を見せられる

モデルのように綺麗な女性とイルミ
いつものように無表情なイルミの
腕に絡まり楽しそうに話しかけてい女性

その写真を手に取る
指先から氷のように冷えていく
きっと顔から表情が消えているだろう

そんなあたしを見て愉しそうなシャル

「あーそうそう!
そんな話をしにきたんじゃないんだよね!
お腹空いたし折角だから
食べながら話そうか」

ニヤニヤと笑うシャルに
心底苛立つ

人の神経を逆撫でするのなら
シャルの右に出るものは
いないんじゃないだろうか


胸が痛い



prev / next

[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -