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▼ ものくろ

本当は少し近くで買い物しようと
思ってただけだった
けどシャルを困らしたくて
ショッピングモールに行くことにした

『ねぇシャルこれほしい』

そう言って指さしたのは
紺色の大きめのビーズクッション

ソファーにもなる一人用のものだ

「そんなの持って帰るのやだよ」

『やだ。今日ほしい。今すぐほしい。』


ねーねーねーとお願いすれば
わかったよ!と配送の手続きをしに
彼は離れていった

お店の中をグルグルと回っていると
ふと違うお店に目がいった

そこは高級感溢れるブティックで
あたしなんかが入るのは場違いな場所
何故か目がいってしまい
ボーッと眺めていると
見覚えのある男性が出てきた


『クロロ・・・?』

女性のためにドアを開けているクロロがみえた
優しい笑顔でほほえんでいる

女性はモデルの様なスタイルで
背も高く化粧も派手な女性だった

あの女性に比べると
やはり自分はお子様で
クロロもそう思っているのだろう

なんだか心が冷たくなっていく
感覚がする


彼女がいるのに
あたしを家に置いていて
大丈夫なのだろうか
恋愛なんてものは
小説でしか読んだことのないが
彼氏が子どもと暮らしてるなんて
嫌なはずだ

「あちゃークロロだ」

シャルの一言でいつの間にか
後ろにいた事に気がつく

『ねぇ。ちょっと後つけていい?』

「俺は別にいいけど」

少し呆れ気味のシャルを引っ張って
クロロの後ろをついて行った

ショッピングモールを抜け
ホテル街へ入っていった

『・・・ここって何するとこ?』

「ヤるとこ」

『ふーん。クロロ彼女いたんだ』

「さぁ?彼女じゃないと思うけどね」

『でもここに来るってことはそうでしょ?』

「それなら君たちだって彼氏彼女になるけど」

その言葉にハッとする
あたし達は身体を重ねているけど
付き合っているわけではない

『・・・あたし達はそんなんじゃない』

第一彼女ならもっと優しいはずだ
さっきのクロロの笑顔のように

「ふーん」

『まっ。いーや!帰ろ!クッション届くでしょ?』

少し何か言いたげなシャルに
背を向け歩き出した



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