H×H | ナノ


▼ きんぱつのせいねん

路地を抜け出し
後ろを振り向きもせず
駆け出す

(とりあえず買い物いこ)

あの人なら
負けることもないだろうと
1人スーパーに入る

(あたしにはまだ夜の世界はだめだなー。
なめられるし・・・
個人経営?んー。できる気しない。)

こんなとこで後ろ盾もなく
売春なんかできるはずもないだろう

買い物カゴを乗せたカートを
押してどんどんカゴにいれていく

(あ。あれ欲しい)
少し上にあるお菓子をとろうと
つま先で立ち手を伸ばすが届かない

「これが欲しいの?」
横から手がスッと伸びてきて
お目当てのものをとってくれた

『ありがとうござい・・・』

お礼を言おうと相手を見ると
先ほどの男だった

「黙って置いていくなんて
いい趣味してるね」

爽やかな笑顔で嫌味を言う

『先程はどーも。』

この男はどうにも胡散臭い
苦手な部類だ。

「このお菓子も美味しいよ」

『いや、あの。』

自然とカートを奪われ
お菓子を入れていく

「なに?」

『何なの?』

「いやー。アラタちゃんに会いたくてさ。」

ぞわりと鳥肌が立つのがわかった
名前を知られているのも嫌な感じだし
ただ者ではない人間に関わりたくないのだ

『そのカートあげる。』

その言葉だけを残し走る

「え?ちょっと待ってよ!」

男の声が後ろかれ聞こえたが
止まるわけもなく
そのまま家に帰った。

(お腹空いたのに・・・
なんか頼もうかなー)

鍵を開け玄関に入ると
クロロの靴と
もう1足見慣れない靴があった。

(クロロいるんだ。
気まずいなー。あとお客さん?)

『ただいまー』
リビングに行けばクロロはいた

「ああ。」
「おかえりー」

いつもの声と違う声も聞こえ
見ると
胡散臭い笑みを浮かべた
さっきの男がいた

『クロロ・・・その金髪と知り合い?』

「こいつも蜘蛛だ。」

「さっきぶりー!2回も置いていくなんて
クロロの教育どーなってんの?
あ。俺シャルナークよろしく。」

ふぅとため息をつかれる

『怪しい奴には関わるな』

「え。俺怪しくないでしょ」

テーブルをみると
スーパーのカゴがそのまま置いてあった

『なにこれ』

「そのまま持ってきた」

『盗んできたんだ』

じーっとシャルナークをみれば
何?と言いたげにニコニコしている

「シャル。もうアラタは見たんだ
帰ったらどうだ?」

「えーまだ少ししかたってないじゃん!」

「アラタと話がある」

「ちぇーじゃあまた来るよ」

バイバーイと手をふり出ていった
玄関の鍵をしめリビングに戻ろうとした瞬間
ダンっと体に衝撃が走った


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