H×H | ナノ


▼ はなさぬように(クロロ)

出ていきたいなら
出て行ってもいいんだぞ?

そう言ってやれば
アラタは動揺しているのが
わかった

出ていかす気なんてないし
こいつも出ていきたいなんて
思わないはずだ。


あまりに思い通りの反応で
口元が今にも笑いそうだ

俯いているアラタは
きっと家の事を思い出しているのだろう

下を向いたアラタの頭をそっと撫でる

「出ていけなんて言ってない。」

その言葉に安心したようで
強ばっていた身体から力が抜け
安堵の表情で微笑んでいた

『・・・うん。クロロの役に立てるように
あたしなりにがんばる。』

撫でる手に気持ち良さそうに
目をつぶり頭をすりよせてくる

「期待している」

アラタは
孤独の中で生きていればいい
その檻の中で
俺を光だと思い生きていけばいい


こいつをどう育てていこうか…

prev / next

[ back to top ]



BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
- ナノ -