H×H | ナノ


▼ お仕事見学

受付をすませ会場に入る
どっかの貴族のパーティーらしい
一流のホテルの最上階で行われていた

どの人も上品できらびやか
住んでいる世界が違うなと改めて思う

それを誤魔化すかのように飲み物を片手に
夜景を楽しむ

「うわあ。綺麗・・・」

「イルミはいたかい?◇」

その言葉にはっとする
イルミの仕事を見るつもりできたのに
夜景に見入ってしまっていた

「普通に夜景楽しんじゃってた」

ヒソカは黙って部屋の隅の方を指をさした

そちらに目を向けると

いつもそのままの髪の毛をひとつにまとめ
高級感のあるスーツを身につけたイルミがいた

「あ!イルミだ!」
いつもの彼じゃない姿を見て
顔いっぱいに満面の笑みを浮かべる

もっと良く見ようとしたら
その隣にいる女の人を見つけてしまった

自分の黒髪とは違う
綺麗なゴールドのやわらかそうの髪の毛
背も高く赤いドレスがよく似合っていた

自然とその彼女の腰に手を回し
何か囁くように耳元に口を近づけていた

嬉しそにクスクスと微笑む女性
腰に回された手に自分の手を重ねていた


このじわりと疼く感情

頭ではあれがターゲットだとわかっているが
気持ちがついてこない

二人から目が離せない

キスをせがむ様に見上げる女
それを受け入れキスするイルミ

こっちを見たような気がしたが気の所為だろう

ドアから出て行くのが見えた

「あ◇行っちゃったね◆」

「ちょっと見てくる」

そう言って2人が出ていった
ドアに向かっていく

「気をつけてね◇」

楽しそうな声が聞こえた


ドアを出ると長い廊下
会場の入口とは違うドア

これはその気になった人たちが
過ごす部屋へ続いているのだろう

歩いていたら一つの部屋から
声が聞こえた

クスクスと楽しそうな女性の声と
軋むベッドの音

「あんっ!服も脱がさないなんてあわてんぼうね。ふふふ」

中で何が行われようとしているか
手に取るようにわかる

もう聞きたくないと思い会場に戻ろうとした

(くるんじゃなかった)

知らないイルミが見れるというだけで
喜びはしゃいでいた自分に後悔で胸がいっぱいになる。

家で帰りを待っていて何も知らないまま
気付かないままでいたほうが良かった

ぼーっと歩いていると
グイッと肩を掴まれた

「アラタ」

黒髪にバンダナ
見知った顔がいた

「クロロ……」

どきりと心臓の鼓動が大きくなった

ヒソカが仕事と言っていたのを思い出した
仕事仲間らしいクロロがいてもおかしくない

「こんな所で何をしているんだ?」

クロロの横にも女性がいた
背の高い髪の長いで
大人の色気がある女性だ

「えっと……」

狼狽えていると女性が口を開いた

「クロロ、この子知り合いなの?」

「あぁ。悪い先に行っててくれ。」

「じゃあ後でね」
と言いながらどこかに消えていった

「綺麗な人だね」

「仕事仲間だ。ここへは誰と来たんだ?」

「ヒソカ。パートナーがいないと入れないって言うから」

イルミの仕事を見学に来ましたなんて
クチが裂けても言えない

「さっきイルミを見かけた。あいつを見に来たんだろ?」

「うっ!」

びっくりと同時に恐ろしくなる
昔からそうだったこの人はなんでも見透かす

動けないでいると
クイッと顎を持たれる

「戻ってこい。出ていったことは許してやる。
お前は孤独だ、俺がそばにいてやる」

お前は孤独だ

クロロに昔から言われてきた言葉
あたしを深い暗い所に堕とす言葉

この人はあたしの力を知っていた
だから傍に置いといたんだ
価値がない人なんかすぐ切り捨てる人だ

でも
イルミは……?
力を知る前から傍にいる事を許してくれた

「・・あたしっ!もう孤独じゃないの!
イルミがいるの!」

「他の女と口付けをしていても?」

「それはっ仕事で・・・っ」

クロロがパッと顎を掴む手を離した

ヒュンっと見覚えのある物が目の前を通った

「触るなよ」

殺気を隠そうともせず放っている

「お楽しみは終わったのか?」

ククっと意地の悪い笑みを浮かべる

「は?馬鹿なの?楽しいわけない。
クロロが楽しんでくれば?好きそうだもんね。
下品な女が。もう殺したけど。」

眉間に皺を寄せ近づいてくる

明らかに怒っている
緊張で手に汗を感じる

「イルミ...」

手を引かれ左手で胸板に押し付ける様に
抱きしめられる

「アラタの言い訳は後で聞くよ」

「は・・・はい」

コクコクと首を縦にふる

「アラタは俺のだから渡す気ないし
利用なんかさせないよ。じゃあね。」

腰に手を回され
引きづられるようにその場を後にした


「取り返すのまだ無理か」
その場に残されたクロロは呟き
仕事に向かう



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