▼ 幸せな時間
記憶が戻っても用意された屋敷から
出ることなく過ごす
出してもらえないと言った方が
正しいのかもしれないが
もう出ようとも思っていなかった
「アラタ、欲しいものある?」
「お風呂入る?」
「ほら、着替えさせてあげる。」
こんな感じでイルミがいる時は
世話をやかれるようになり
自分がどんどんダメになっていく気がする
それを伝えると
「俺がいないと生きていけないって
なってほしいからね。
それにアラタのことをするのは楽しいし。」
愛し愛されとても幸せだ
離れていた数カ月を埋めるように
濃密な時間を過ごしていく
「やあ◇」
この邪魔で鬱陶しい客人がこなければ
「ヒソカ、帰ってくれる?」
「誰のおかげでイルミと
暮らせたと思っているんだい◇」
これを言われてしまえば
反論がでてこなかった
イルミもヒソカがいてもいなくても
くっついてきたりするのには変わりなかった
「僕がいるの忘れてるのかい?」
「嫌なら帰れば。」
そして見せつけるように情事を始める
そこはあたしが嫌がってもおかまいなしだ
キキョウさんに至っては
早く孫の顔がみたいと嬉しそうにしていた
イルミとの子どもができるのも
そんなに遠い未来ではないだろう
「アラタに似た女の子がいい。」
「えー、イルミに似た男の子は?」
「俺に似たらアラタの取り合いになるよ。
アラタに似た男の子でもいいかな。
アラタに似てたらそれでいい。
子どもは沢山欲しいから
アラタにはがんばってもらうよ。」
「・・・はい。」
この日常はとても幸福だった
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