▼ 過去と現在
「何故出て行ったんだ?」
穏やかに微笑んでいるが
怒っていることがわかる。
「・・・出ていきたかったから。」
「住む場所も教育も金も与えた。何が不満だったんだ?」
「うるさいなー。一人立ちしよーと思ったの!」
「アラタが一人立ちなんか考えるわけないだろ。甘えたのくせに。1人で生きていけるわけない。」
「なっ・・・」
「現に今だって新しい飼い主に飼われているじゃないか」
反論できない
本当に1人で生きて行こうと思っていた
でもイルミにお世話になっているだけ
与えてもらってるだけなのだ
フッとクロロが見透かしたように笑う
「戻ってこい。アラタ」
あぁ
この有無を言わせない言い方変わらない
クロロが頭を撫でようとした
ビクッと身体が強ばる
この人はいつもそうだった
優しくして突き放す
今優しくされても後でどうせ突き放す
クロロの手があたしに触れようとした瞬間
ガシッとクロロの手を掴む手が見えた
「何これ。どんな状況?」
珍しく眉間に皺を寄せているイルミがいた
「やぁ◇思ったより早いね」
イルミに向けて手をヒラヒラと振る
「クロロ。俺のペットに勝手に触んないでくれる?」
「・・・わかったから手を離してくれないか」
手を離してアラタを抱き上げ
アラタがいた場所にイルミが座り
アラタを膝の上に座らせた
「ペットを飼い主に返したし僕は帰るよ◇」
そう言ってヒソカは帰って行った
沈黙
いたたまれなくなって質問した
「・・・イルミとクロロって友達?」
「ビジネスパートナーなだけだよ。
アラタはクロロを知ってるの?」
「前の飼い主だ」
ニコリと微笑むクロロ
対照的に睨みつけるイルミ
「アラタ。ほんと?」
クロロを睨みつけたままこちらを見ずに問いかける
「・・・うん」
ピキリとさらに空気が冷たくなった気がする
「2人が知り合いってびっくりしっんん!」
言い終わらないうちにイルミに手で口を塞がれる
「もう喋らないで」
コクコクと頷くと手を離してもらえた
「随分と過保護なんだな」
クロロは鼻で笑う
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