H×H | ナノ


▼ 愛のかたち

用意された屋敷は山の中にあった
大きな門を潜ると
ちらりと見えた大きな動物は
ミケというらしい

「イルミ、なんであたしを連れてきたの?」

そんな質問をしたあたしの
頭を撫でて額に口付ける

「アラタは俺のだから。」

この独占欲が心地よかった

◇◇◇◇◇

「アラタさん、お茶をしましょ!」

「はい、奥様!」

イルミの母親のキキョウさんが
毎日のように来てくれてお茶をする

「貴女がいるなら、私だって
お見合いなんかさせなかったのに!
こんな可愛らしい女の子が娘になるなんて
嬉しいわ・・・!」

そんなことを言ってもらえて嬉しかった
母親というものを知らないあたしに
とても良くしてくれた

お茶をして喋って、時々一緒に来てくれる、
カルトちゃんも同席してくれる

最初は警戒心を露にしていたが
何回か会ううちに普通に
喋ってくれるようになった

「母さん、帰ってくれる?」

「あら、やだ!
イルミもう帰ってきたの?」

「おかえりなさい!」

イルミが帰ってくると
渋々、キキョウさんは帰っていく

そんな毎日が続いている

「イルミ、クロロと話は済んだの?」

「あぁ、まあね。
あっちは今大変みたい。
俺には関係ないけど。」

「そうなんだ。」

「なに?心配してるの?」

「別にそんなんじゃないよ。」

向き合う形でイルミの膝の上に座り
一日のお喋りをするのが日課だった

ピリリリとイルミのポケットから
電子音が響く

「はい。あぁ、父さん、どう?
そう、よかった。
じゃ、ありがと。」

すぐに電話を終えたイルミ
シルバさん?と声を掛けようとするが
目の前が明るくなった

そして流れ込むように
膨大な記憶が入ってきた

イルミと出会ったこと、
今までの日々

「アラタ、大丈夫?」

揺さぶられ我に返る
目から雫が落ちる

「イルミ、忘れててごめん・・・」

「アラタのせいじゃないよ。」

優しくきすをされる

「アラタにかけたやつを
親父に頼んで探し出して
始末してもらったんだよね。
俺が殺してやりたかったけど
記憶が戻る時にアラタのそばにいたかったし。」

「・・・ありがとう。
逃げて・・・ごめん。」

「うん。もう逃がさないけど。」

「クロロのことも、わかってるんでしょ・・・?」

「そうだね。
でも、俺はアラタが戻ってくれば
それでいいから。
クロロにはいつか落とし前つけてもらうよ。」

「イルミ、離れててさびしかった。
記憶がなくなっても
イルミに惹かれてた。」

「しってる。
やっぱり俺とアラタは
離れられない運命なんだよ。」

「イルミが運命とか言うの
不思議な感じ・・・。」

「アラタと出会うまでそんなもの
信じてなかったけどね。」

「あたしも。
イルミ、大好き。
愛してる。」

「俺もだよ。
アラタ、愛してる。」

向き合いって笑う
愛おしくて仕方がない

記憶がなくなっても
戻ってもこの気持ちは変わらなかった

もう、離れないと誓う

END

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