▼ 不確かな
ギシギシと軋むベッドは
行為の激しさで壊れてしまうのでは、と
思わずにはいられない
今日は腕を縛られることもなく
仰向けで揺さぶられる
「今日はいつもより、感じてるな。」
「ん、そんなことっ、な・・・いっ、
あァっ・・・!」
昼間のイルミとのキスで欲情したなんて
口が裂けても言えるはずがない
これ以上何も言われないためにキスを求めると
クロロはキスをしながら腰を激しく動かし
お互い、達した
汗ばみは顔に張り付いた髪の毛を
優しい手つきでとられ額にキスをされる
その手つきが優しすぎて
イルミとキスをしてしまった罪悪感で胸が傷んだ
「アラタ、明日はでかける。
ゆっくり寝ていろ。」
「・・・うん」
頭をひとなでして
シャワールームへと消えていく
あたしは身体を動かすこともできずに
ベッドで手を放り出し目をつぶった
◇◇◇◇◇
いつの間にか寝てしまったらしい
身体は拭かれたのか綺麗になり
服を着せられていた
クロロの姿は部屋にはない
あたしを抱いたあとに
部屋にいた事は少ない
寂しくないわけではないが
きっと昔からなのだろう
起き上がるとまとわりつくような
視線を感じて窓を見る
ピエロのような服装で笑みを浮かべていた
「誰・・・?」
「会ったことあるんだけど、
忘れちゃったのかい?◇」
「あ、ごめんなさい。
あたし今少し前の記憶がないの。」
「僕はヒソカ、覚えておいて◇」
『ヒソカ』その名前には聞き覚えがあった
アジトに来てからも団員が
名前を何度か口にしていたのを思い出す
いい話ではなかったが・・・
「貴方も旅団?
なら、ここには来ちゃダメって聞いてない?」
「生憎、今日ここに来たばかりだから
そんなこと聞いてない◇」
悪びれる様子もなく近づいてきてベッドに座り
どこからかトランプが出てきて目の前に出される
その一連の動作の速さに目を見張る
ポン、と目の前のトランプが
1本の薔薇へと変わる
「貴方、手品師なの?」
優しい手つきで髪に薔薇をさされる
いい匂いで思わず微笑んでしまう
「違うよ◆僕は奇術師。
嘘つきだから気をつけて◇」
「ふふ、変な人。」
旅団の皆が言うほど
嫌な人じゃないのかもしれない
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