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▼ 奪うもの

旅団の【調達】とは【盗む】もしくは【奪う】だ

フィンの背中に乗っていたが
走り出して数分で軽トラックと出会い、奪い取った
運転手を殴り殺そうとするフィンを宥め
気絶させ道端に転がしておいた


車窓からこれという特徴のない建物をなんとなく眺める
少し乱暴な運転だが事故は起こしそうにないので
なんとか安心して乗れている

「ねぇ、フィンって免許証持ってるの?」

「あ?んなもんねぇよ。」

「ですよねー。」

シートベルトをしようと手を伸ばすあたしを止める

「シートベルトなんかしてたら
いざという時逃げれんねぇからすんなよ。」

「・・・わかった」

そんな危険な状況にはならないでほしいと
心の底から願いながら目的の店までついた

「アラタ、お前はまっとけ。」

首をコキコキ鳴らしながら降りた
フィンに向かって大声で叫ぶ

「フィン!お酒とおつまみだけじゃなくて
ちゃんと食べ物も持ってきてよ!」

はいはい、というように手を振りながら
開店前の店にガラスを割ると
すぐに防犯ブザーがなるが気にした様子もなく
店内へと入っていった

数分後、たくさんの商品を乗せたカートを
店員とおぼしき男性2人に押させ戻ってくる
カートの中にはお酒がいっぱいあるが
ちゃんと食材も入っているようだった

「オラ、さっさと積め。
1分以内に積み込まねぇとお前らも
さっきの奴みたくなるぞ。」

体格の良い男2人が震えながら
商品を素早く荷台へと乗せていく
フィンの口振りから1人犠牲者が
出たというのがわかった

1分もかからず荷台に全て乗せ終えたことで
2人ともヘナヘナと地べたへと座り込んだ

「帰るぞ」

「はーい」

男二人を放置して用が済めばさっさっと帰る
フィンは短気で喧嘩っぱやいが必要以上に
人は殺さないらしい

しばらく走ると今まで黙っていたフィンが
ぶっきらぼうに呟く

「なぁ、お前団長とは上手くいってんのか?」

「うーん、多分。
クロロと付き合ってたって
記憶がない分変な感じだけどね。」

「なんてゆーか、あれだ。・・・夜の方だ。」

普段デリカシーがないくせに
こういう話題だけは何故か純情なフィン

「なに?せっくす?」

わかっているのにわざと単語を口に出せば
フィンの耳は真っ赤になる

「女がそんな言葉言うんじゃねぇよ!」

「心配してくれてるの?
それともフィンもしたいの?」

「ば、馬鹿野郎!
ガキに興味ねぇよ!!!」

「いったあぁぁ!!」

パンとデコピンをくらい痛みで涙が滲む
だいぶ加減をしてくれてるとはいえやはり痛い

「馬鹿フィン!頭吹っ飛んだらどうするの?!」

「吹っ飛ばすかよ!」

ぎゃあぎゃあ文句を言って笑い合う
今まで経験がしたことがないこの感じは
心が温かくなる気がした

世間では極悪人ではあたしからしたら
旅団の皆はいい人達ばかりだ

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