H×H | ナノ


▼ 見えないなにか

クロロの部屋といっても廃墟だから
ほかの部屋と同じように少し汚れていたが

ベッドやクロロが座るであろう椅子は
高価そうなものだった
クロロは椅子に座り手招きをする
そばへ行くと膝の上に乗せられた

「アラタ、記憶がない時のことは思い出せそうか?」

「うーん、わかんない。
クロロに拾って貰って・・・
過ごしてた以降の記憶は思い出せない」

「そうか・・・」

探るような目で見られているのを
気が付かないフリをする

「でも、クロロってなんか変わったよね。
昔はもっと、怖かった。
今は雰囲気が優しい気がする。」

「あぁ、欲しいものが手に入ったんだ。
気分も良くなる。」

「そうなの?それってなに?」

「さぁな。」

ゆっくりと顔が近づいてきて
受け入れる様に目を閉じる
いつものように、そう思ったのに
1回唇が触れると何かが違う気がした

「ごめん、クロロ、なんか今日・・・」

「・・・どうした?」

膝の上から降りようとするのに
痛いくらいに手首を握られ
動くことができない

「嫌なのか?」

「ちがう、なんかわかんないけど・・・」

訝しげに見てくるクロロに慌てて微笑む

「ちょっと、疲れたんだと思う。
飛行船なんか普段乗らないし・・・ね?」

「大丈夫か?」

大丈夫か?という言葉とは逆に
クロロの表情は冷たい
その顔に血の気が引いていく
初めて抱かれた時の事を思い出した
あの時もこんな顔をしていた
痛くされるのはいやだ

「クロロ、ごめんなさい。
怒らないで。」

掴まれている手が痛い
カタカタと小さく身体が震えていく

「何を怯えているんだ?」

逃げれないように優しく甘く捕まえられていく
ゆっくりと深い沼に身体が沈んでいくような気がした



prev / next

[ back to top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -