▼ 知らない影
部屋に戻りソファに座るクロロと
クロロの膝を枕にして寝るアラタを見て
眉間に皺が寄る
「それ僕への嫌がらせかい?◇
なんで君がいるんだい。」
「アラタを連れに来ただけだ。
お前がアラタを捕まえていてくれてよかった。
イルミじゃこうはいかないからな。」
眠っているアラタの頭を撫でる
その様子は盗んできた盗品を愛でる時に似ている
「アラタが君のところに行くわけないだろ◆」
「さぁ、どうだろうな。」
「・・・ん」
膝の上のアラタが起きたがり
眠たそうに目を擦りながら起き上がる
周りをキョロキョロと不思議そうに見渡していた
「あれ・・・?ここ、どこ?」
「アラタ、目が覚めたか?」
「クロロ。ここどこ?」
いつものクロロに対する反応と少し違う
アラタと目が合うと不思議そうに首をかしげている
「あの人だれ?」
「俺の仕事仲間だ。」
「ふぅん。こんにちは。
あたしアラタです。よろしくね。」
寝ぼけたふりをしているのか
寝ぼけているのか苛立って
殺気を飛ばすと「ひっ」と小さく悲鳴をあげ
クロロの胸元に顔を隠す
「殺気を飛ばすな。アラタが怖がっている。」
「・・・どういうことだい◇」
「別に対したことじゃない。
少し昔のアラタに戻っただけだ。」
怖がるアラタの髪の毛を撫でながら
クロロは機嫌が良さそうに言う
『昔のアラタに戻っただけだ』
「まさか、君と一緒にいた頃の・・・ってとこか◇」
「さすが察しがいいな。詳しい話はまた後でしてやる。
アラタ帰るぞ。」
「うん!」
アラタがクロロと共にたちが上がり
横をすり抜けていく
「っいたっ!」
思わず腕を掴んでいた自分に驚きを隠しつつ
平然を装い笑みを浮かべる
「本当にクロロと行くのかい?
僕と一緒にどこかへ行こう◆」
眉間に皺を寄せ睨みつけてくる
睨みつける顔は昔から変わらないのか
「・・・あなた怖いからいや。」
腕を振り払いクロロの元へと駆け寄って行く
「残念だな。ヒソカ。
アラタに会いたかったらいつでも
訪ねにくればいい。じゃあな。」
ドアが静かに閉まる
折角手に入れたのに
それでもクロロの手の中にあるなら
取り返す事も悪戯することもできるだろう
「また会い行くよ◇」
prev / next