H×H | ナノ


▼ ないものだって強請りたい

アルコールが身体に回って熱い
それでも何もかも記憶に残したくなくて
ワインの入ったグラスを持つ
椅子の上じゃなくてヒソカの膝の上に
座ってることさえもどうでもよかった

「あそこに連れいったら暴れるかと思ったよ◇」

「・・・望み通りににならなくて残念でしょ」

ヒソカは髪の毛をあたしの髪の毛を指に巻き付けて弄る
イルミとお揃いだと思って伸ばしていた髪
切ってしまおうか

「いや、弱ってる君を見れて嬉しい◆」

「悪趣味」

顎をすくい上げられ唇が触れ合う
舌がぬるりと入ってきても
拒否をせずに受け入れると
ヒソカはどこか嬉しそうだった

あのあと、イルミとアナンは
無事に婚約発表を終えたのだろうか
そうして結婚でもするのか

あたしを迎えに来ると言っていたのは
愛人として迎え入れるのだろうか
最初は飼われていたからよかったのに
今は恋人のはずなのに
やっぱり家の繁栄のためにお見合いをしたのだろうか

あの場で聞けなかった事が次々と浮かんでくる

「アラタ、今は僕の事考えてくれる?」

「ん、」

耳朶を噛まれそのまま耳を舐められる
それが、くすぐったくて身をよじる

持っていたグラスをテーブルに置き
アルコールで熱っぽい腕を
ヒソカの首に絡ませ首筋に顔を埋めた
血の匂いでもするのかと思っていたのに
香水でもつけているのかいい匂いがする

「いつもみたいに強気で反抗的なのもそそるけど
甘えてるアラタも可愛いね。
それだと顔が見えないからこっち、向いて◇」

本当はこのままくっついていたかったけど
膝の上で横抱きにされ口移しでワインを飲ませてくるのを
黙って受け入れていた

「ん、ぅ」

「美味しい?」

小さく頷くがワインの味なんてもうわからない

「アラタ、君にはイルミの針がささってる◆」

「え・・・?」

「他の男と出来ないようにね。」

あたしが他の男としないように
知らないうちに針をさしたのか
自分は婚約するのに
なんて自分勝手なんだろう

でも、イルミらしいと笑いがもれる
笑っているのに涙が溢れてくる

「抜いたげようか?」

涙を舐めながらヒソカは耳元で言う

「でも、僕に抜かせるなら
僕はアラタを抱くけど◇」

何も考えられないくらい
グズグズに甘やかしてほしい
もう気を張ってるのも疲れた

「優しくしてくれるなら、いいよ」

ヒソカ優しい口付けをくれた


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