▼ 蜘蛛の刺青
やっと出てきたヒソカに舌打ちをすると
あたしが苛立つのが嬉しいのかニヤリとする
「ヒソカってSなのかMなのかわかんない」
首にタオルをかけて出てくる
引き締まった身体は思わず見てしまうが
あたしがいても平気で
全裸でいるこの男の神経が理解できない
ふと背中に目がいくと
蜘蛛の背中に4の数字が入っている刺青
旅団がいれている刺青を初めて見た
「うわぁ、ヒソカって本当に幻影旅団の
メンバーなんだね。」
「ん?あぁ、取り忘れたよ◇」
ペリっと剥がすとそれはただの布になる
驚いて目を見開くあたしの頭を撫でる
「これは内緒だよ◆」
「・・・何が目的なの?」
「クロロと戦いたいだけさ◇」
「ふーん」
腑に落ちないがこれ以上追求するのも面倒だった
髪を拭いていた手が止まり
こちらを向く、その顔はニンマリとしている
「僕がクロロを殺したら君は悲しむかい?」
「は?好きにして。」
クロロが簡単に殺られるとは思わない
もしヒソカに負けてクロロが死んでも
それは弱いクロロが悪いと思う
「元飼い主なのに冷たいね◆
・・・僕がイルミを殺したらどうする?」
ヒソカがイルミを殺す?
想像するのも吐き気がする
ゾワゾワと黒い感情が渦巻く
「死んでもお前殺す」
「あぁ・・・、いいよ・・・
そのオーラ・・・◆
イルミを殺って君と戦うのもありだね◇」
クツクツと笑うヒソカの喉へと
素早く手を伸ばす
今すぐにでも殺してやりたい
そう思ったがすぐに
腕を掴まれ床へと押し倒される
衝撃を与えないようにという配慮なのか
後頭部は大きな手のひらがクッションとなっていた
「そんなに殺気だしてたら
殺れるものも殺れないよ◇」
ギリギリと奥歯を噛み締める
ヒソカに気を使われるのも、
かすり傷すら与えられないのも悔しい
この悔しさを数日で何度味わったのだろう
ゴリっと下半身に硬いものが当たり
それがヒソカの反り勃ったったものだと
理解するのに数秒かかった
「今のどこで興奮したの」
「君の殺気のせいだよ◇」
はぁ、と溜息が出た
殺気で興奮する男に殺意はすっかり消えた
実際にイルミが殺されたわけでも
傷つけられたわけでもない
イライラするだけ無駄だ
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