▼ そちらはさぞ楽しかろう
話し声で目が覚める
「ん...」
少し目を開けて見れば
見慣れぬ景色
あれ、イルミは・・・?
ベットの脇に腰掛けている
人物に手を伸ばすと
それに気がついたのか
話し声が終わる
大きな手が優しく手を包み込む
「イルミ...
こっちで寝て」
広いベットに一人寝は寂しい
ベットに上がってきて
抱きしめてくれる温もりに目を瞑る
「君はそうやって
男を誘うのかい?」
語尾にハートマークが
付きそうな話し方に
微睡んでいた意識が
急速に浮上して
今自分が置かれている状況が
一気に思い出された
声主はイルミではない
大嫌いなヒソカだ
ガバっと勢いよくとき上がり
ベットから飛び降りる
「おや、おしまいかい?◆
寂しいんだろ?
僕が抱きしめてあげるよ◇」
ニヤニヤとするヒソカに
全身に鳥肌が立つ
部屋に案内してくれた時の
紳士さなどなくなり
いつも通りの変態オーラを纏っている
「きもい!」
「ひどいな◇
君が誘ったくせに」
「寝惚けてただけ!」
シュッという音が聞こえ
体が自然に避け
何かが壁に刺さる
チラリと見ればトランプだった
「やっぱり勘は悪くないね◇
さすがイルミに
教えてもらってただけある」
「・・・殺す気?」
「殺す気ならとっくに殺ってる◇
とりあえず君は念能力を伸ばせばいいね。
君の体質的に操作系だろ?」
「ちょっと、なんであたしの事知ってるの。」
「内緒◇
僕も君と寝てみようかな」
舌なめずりをするヒソカを
これでもかというほど睨みつけ
ドアへ向かう
「絶対嫌!!」
「クク、キルアなら200階の部屋だよ」
完全に行先がバレていることも
腹立たしいが何も言い返さず
開けたドアを乱暴に閉めた
prev / next