▼ 元飼い主と仮飼い主
仕事が終わり部屋に帰ると
アラタの気配がない
首を傾げる
朝は寝室にいたはずなのに
寝室に行くが
アラタの姿はない
ベットの上には
アラタの付けていた首輪
その横にはトランプの
ハートのエースが置かれている
そのトランプが誰のものか
嫌でもわかる
携帯を取り出し
ヒソカに電話をすると
すぐに繋がった
『はい◆』
「アラタは?」
『今寝てるよ◇』
「・・・何したの?」
持っている携帯がミシリと
軋む音がした
『何もしてないよ◇
君のモノでしょ。
僕がちょっと修行してあげる◆』
「別にしなくていい
今すぐ返してくれる?」
『クク、それは無理だ◇
君とアラタは少し離れてみるべきだ◆
この機会に他の女でも見てみれば?』
「余計なお世話。
すぐ返してもらいにいくから」
『でも君明日から家に戻るんでしょ?
とりあえず預かっとくよ◇』
電話が切れ無意識に
携帯を握りつぶす
「あーあ。
またミルに作ってもらわなきゃ」
ヒソカの挑発にイライラしながらも
仕事を休むわけにも行かない
(すぐ終わらして戻ってこよう)
仕事用の携帯で飛行船の
手配などを済ませ空港へ向かう
飛行船の中でもアラタが
触れる距離にいないことに苛立つ
「戻ってきたら
もう絶対どこにも出さないから」
呟きは誰に聞こえることもなく
闇に溶けていった
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