▼ 終わって始まる
重たい瞼をあけると
隣にイルミの姿はない
もうお昼を過ぎているだろう
毎晩めちゃくちゃに抱かれ
起きるといない
少し前までは平気だったのに
今はそれが辛い
好きなのに愛してるのに
「おはよう◆」
朝から聴きたくない不愉快な声
「・・・ヒソカ。
なんでここにいるの?」
ドアにもたれてこちらを見ている
「あたし裸なんだけど
出ていってくれない?」
「嫌だ◆
君に提案があるんだけど
聞いてくれるかい?」
「・・・なに」
「アラタとイルミは
このまま2人でいても
ダメだと思うんだ◆
離れてみたらどうだい?」
言葉に詰まる
確かにヒソカの言う通り
あまり良い状態ではない
ヒソカはそのまま言葉を紡ぐ
「僕が面倒みてあげるし、
修行も手伝ってあげる◆
キミ、弱すぎるしね。
イルミがわざと力を
つけないようにしている◇
才能はあるのに勿体ない」
一旦、イルミと離れてみるのも
いいのかもしれない
このままだと寂しさで
押しつぶされてしまいそうだ
「・・・このチョーカーは
イルミじゃないと外せない。
すぐに居場所がバレてしまうから無理よ」
ククっと笑いながら
ベットに近付いてくる
さっきよりもしっかりと
シーツを引き寄せた
そっとヒソカの冷たい手が首に触れた
「はい◆」
どうやったのか一瞬で
チョーカーがヒソカの手の中にある
「え、どうやったの・・・?」
「奇術師に不可能はないの◆
さぁ、どうする?
僕と来るかい?」
「イルミの横に立てる力がほしい」
「キミ次第でどうとでもなる◇」
差しだされた手にそっと触れる
「契約完了だ◇
イルミには僕から話を付けておくから
何も気にしないでいいよ◆」
ヒソカに着いて行くと決心したものの
イルミと離れたくないという気持ちが
消えたわけではない
それでも今は力が欲しい
別れるわけではない
わかっているのに
涙が頬をつたった
元飼い主×イルミ end
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