▼ 悪戯ピエロ
ヒソカは何故かあたしと
イルミがしばらく泊まるホテルの
場所を知っていて帰るのかと思いきや
居座り続ける
「ねぇ、帰らないの?」
「まだ大丈夫だよ◆」
訳をすれば早く帰ってよなのに
絶対に分かっていて
返事をしてくる所が憎らしい
スッと横に寄ってきて
ソファーに押し倒されるような体勢になる
「僕とも遊ばないかい?◆
イルミよりイイかもしれないよ?」
金色の瞳を細め笑っているのに
目は笑っていない
「いらない」
いらないと言ったのに
べろりと頬を舐められ
ゾワゾワと背中に鳥肌がたつ
本当は殴りたいけど
勝てない相手とは戦うなと
イルミに教えられているので
無表情のまま受け入れる
「あれ、抵抗しないのかい◆?」
これまた愉しそうに笑うヒソカ
ヒュンっと何かが飛んできて
ソファーに突き刺さる
それは愛しい人の商売道具
「アラタに何しんてんの?」
ドス黒いオーラを撒き散らしながら
あたしとヒソカを見る
「遊ぼうとしていただけさ◆
君のお姫様は抵抗しないのかい?」
「勝てない相手とは
戦うなって教えてるからね」
返事とともに投げられる針が
ソファーに刺さっていく
「アラタに当たる事を考えないのかい◆」
「当てるわけないでしょ」
降参という風に手を挙げて
あたしから離れていく
「またアラタにちょっかいかけたら
仕事受けないからね」
「クク、それは困る◆
じゃ、僕は帰るよ」
手をヒラヒラさせて
出て行った
「イルミ!おかえり!」
「ヒソカに何もされてない?」
「ほっぺた舐められたぐらい」
舐められた箇所を指さすと
そこをゴシゴシと服で拭かれ
そのままお風呂場へと連れていかれる
「先入って。俺もすぐ入るから」
「ん、わかった」
独占欲を感じると自分は
イルミのものだと認識できて嬉しくなる
これが狂ってると言われようとも構わない
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