H×H | ナノ


▼ 歪みきっていても

イルミとともに
飛行船からホテルへと
拠点を移した。
しばらくはこの街で仕事があるようだ。

「これクロロから」

ソファーで寛いでいると
イルミから通帳を渡される
中身を見ると
初めて見る金額が記載されていた

「え、億あるんだけど..」

「慰謝料込みでね。
そのお金はアラタだから
自由にしたらいいよ」

「わーい!
じゃ、イルミ!
休みになったら出かけよう!」

「いいけど。何か欲しい物あるなら
通販で頼めば?」

「いいのー!一緒に!でかけたいの!」

ふーんとそのまま横に座り
コテンとあたしの肩に頭を乗せる

「どうしたの?」

「なんとなく」

「ふふ、甘えていいよー。
お兄ちゃんは気苦労が耐えないね。」

お母さんからヒステリック気味に
かかってくる電話に適当に
相槌を打つイルミを何度も見た

きっとキルアの事だろう
こんなに心配してくれる家族、兄弟。
それがどんなに歪んでいても
あたしにはなかったものだから
羨ましい事に変わりない。

「あたしもイルミがお兄ちゃんだったらなー」

急に顔を上げじっと見つめてくるイルミ

「やだよ」

「なんで」

「血が繋がってたら色々大変じゃん」

「え?」

「俺がアラタの事好きになるのは
変わらないし。
親父達を説得するの骨が折れそうだしね」

「そこに妹ととして可愛がるって
選択肢はないの?」

「ないよ。
アラタのことを妹って
思える自信ないね。
本当の妹ならこんな事をするのも
戸惑うかもね」

そう言いながら顎をすくい上られ
キスをされる

ソファーに倒れ込みキスをしていると
頭の上にあったテレビのリモコンに手があたり
テレビからニュースを読む男性の声が聞こえた


[ビルディック家が何者かに襲われ
使用人も全て亡くなっていました]

ビルディック…
聞いたことがある名前で
チラリとニュースを見ると
当主とされている男の顔写真が
この前自分が殺した男に
よく似た顔だった

「イルミ・・・これ・・・」
キスを止め起き上がり
ニュースを指さす


「あぁ。これ、俺の仕事」

「でも・・・この人」

少し震える手をイルミが優しく包む

「そう。あの男の親族だね。裏社会の人間。
依頼があって俺が受けた。」

「あ、たしのために・・・?」

「それもあるけどたまたま。
裏社会の人間って恨まれやすいから。
何?親族いなくなって悲しいの?
アラタには俺しかいなくていいでしょ?」

「悲しいんじゃないの。
あたしの父親がどんな人なのか知らないけど
殺すような人間の親族なんて
滅べばいいと思ってた。」

イルミの愛は時々歪む
あたしも歪みきってる
そんなのわかってる

「アラタが喜んでくれてよかった。
殺しがいがあったよ」

少し嬉しそうにあたしの髪を手でとく

「イルミ・・・」

今度は自分からイルミの膝に乗り
首に手を回しキスをした

「大好き、愛してるの」

「何で泣くのさ」

ポロポロと目から落ちる涙

「わからない、けど嬉しい涙」

こんなにも歪んだ愛を受け止め返してくれる
それが嬉しくてたまらない

「汚れてるけど、捨てないで」

「アラタは綺麗だよ」

涙を手で拭ってくれる
感情がないなんて言われているイルミだけど
あたしはイルミの優しさを感じる

そのままギュッと抱きつき肩に顔を埋めた


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