H×H | ナノ


▼ なにもみたくない

何も言葉が見つからない
ただ男を睨みつけるしかできなかった

「お前の母親の家系と
俺の家系で子どもを作らないと
特異体質が受け継がれない。
俺と結婚するはずだったのに
俺の弟と逃げたんだ。
しかも逃亡を手助けするために
あの女の一族は自害した」

自分にまたがり
楽しげに笑う父親だと思っていた男

「そこまでしたのに
お前等家族を見つけ出した時の
驚きと恐怖の顔は今でも忘れられない。
ははっ!お前の母親は弟を助けるために
自ら俺のものになったんだ」

「・・・父親は?」

「もちろんすぐに殺したさ
お前の母親には
死ぬ直前に伝えてやったよ」

「こんっの下衆野郎!」

ふんっと馬鹿にしたように鼻を鳴らす

「絶望して死んでいったよ
お前に謝りながらな
自分が死んだらお前がどうなるか
わかったんだろうな」

「・・・殺す!」

「そ、じゃアラタがやる?」

目の前の男が一瞬で壁へと吹っ飛ぶ

スーツを着たイルミが立っていた

「イル・・・ミ?」

「ただいま」

「・・・おかえり」

ブチっと縄をちぎるように
拘束されている鎖をちぎる

ふわりとかけられるのは
イルミのスーツのジャケット
腕が少し腫れている
それを見るとイルミが答える

「今手折れちゃっててさ。
アラタが殺る?」

「え?大丈夫なの?」

「問題ないよ」

よろめきながら立ち上がる男

「おい!!お前!どこから入った!?」

男の怒鳴り声が聞こえないように振る舞うイルミ

「どうする?俺が殺ろうか?」

「・・・あたしがする」

じゃあ、はい。と渡されたのはナイフ

そしてイルミは男に針を飛ばす

「どうぞ」

男を見ると手首に針が貫通し
壁に磔にされている

「育ててもらったくせに
恩を仇で返すのか!」

あんなに小さい頃は怖かった
父親だと思っていた男
殺す事に何の感情も沸かない

「・・・サヨナラ」

喚く男の喉を切り裂く
クロロやイルミに教わった
ナイフの使い方

この男を殺すのに
なんの戸惑いもない。


絶命した男の亡骸をじっと見つめる

「早く帰って体洗おう」

ぼーっとするあたしを抱きかかえて
窓から飛び降りた

大きな屋敷にいたようで
門まで少し距離があった
門を出る頃に後ろから爆発音

屋敷からは炎が上がっている
ただそれを夢を見ているかのように眺めていた

イルミの体温を確かめるかのように
ぎゅっと首に顔を埋めた


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