H×H | ナノ


▼ 必然と偶然

買ってもらったドレスを身につけ
ヘアメイクしてくれる女性がきて
いつの間にかあたしは綺麗に着飾っていた
キラキラする見た目と反対に
心は鉛のように重い

額には黒色のバンダナをし
スーツを身につけたクロロが
ソファーに座っていた

クロロは何事もなかったかのように振る舞う
いつの間にか携帯がないことに気がつく

「・・・クロロあたしの携帯は?」

「仕事が終わるまで俺が預かる。
行くぞ」

迎えに来たのは高級車
乗り込むと運転していたのはシャルだった

「準備は万端だよ」

「あぁ」

クロロと距離をとるあたしを
ミラー越しに見て悟ったのか
あたしに話しかけてくる事はなかった


パーティーが行われている屋敷に着く
厳重に警備されているのに
偽装したであろうセキュリティカードで
車のままどんどんと中に入っていく

「・・・セキュリティって何」

「はは!俺がすごすぎるだけだよ」

得意げに笑うシャルに
少し苛立ち無視をする

「はい!ついたよ!
俺はここで待機だから
あとは頑張ってねー!」

黒服の男の人が車のドアを開ける
「お待ちしておりました。
クロロ様」

本名を使っていることに
少し驚きクロロを見ると
気にする様子もなく
堂々と車を降りる

あたしにエスコートをするクロロの
仕草一つ一つがとても上品で
誰がこの人を幻影旅団だなんて思うだろうか。

本当は触れたくもないが
仕事だと言い聞かせ腕を組む

「クロロ様ようこそ。」

主催者らしい太った男が
近づいて来る

「そちらのお連れ様は・・・?」

「こちらは僕の恋人です。
パートナー同伴でも良いと書いておりましたので」

「初めまして。ミリアと申します。
この様な素敵なお屋敷は初めてですわ。
本日はお招きいただきありがとうございます。
このお屋敷の様に旦那様も素敵な方で驚きですわ」

あたしを値踏みするように見る目を
不快に感じながらも気にしていませんよと
いうふうに振る舞う


「そうですか!
今日は楽しんで言ってください!」

あたしの答えに満足したのか
にこやかに去っていった

「いい回答だ」

「・・・ふん」

「俺は少しここを離れる
適当に時間を潰しておけ」

「わかった」

ビッフェスタイルの食事
適当に皿に盛り付ける
俺がやってあげるよと言う
男達を笑顔で牽制し
ゆっくりと味わう

「アラタ・・・か?」

振り向いては行けないのに
呼ばれた方をみてしまった

危うくもっていた皿を落としそうになったが
平然を装う

「・・・誰かとお間違えでは?」

微笑みその場を後にした
食事を乗せた皿はウェイターに渡した

男から離れふぅとため息をつく

「最悪」

あの男は紛れもなく父だ
忘れるはずもない

整った顔に自分とは
全然違うブロンドの髪
同じなのは目の色のみ

もう40くらいなのに
見た目は若々しく
写真でみた若い頃のままだ

自分の上に覆いかぶさって
自分勝手に腰を動かしていた事を
思い出し吐き気がする

「アラタどうした?」

後ろにはクロロ
不敵な笑みを浮かべているという事は
今の出来事を見ていたのだろう

「本当に性格が悪いのね」

「お褒めに預かり光栄だ。
俺の仕事はすぐに済む
あと少しパーティーでも楽しむか?」

肩に置かれた手を払い除ける

「さっさっ仕事終わらして」

「あと30分で照明が全て消える
暗くなったら
どこか安全そうな場所にいろ
どうせイルミもそろそろ来るだろ」

イルミが来ることを思い出し
嬉しくなる
しかし自分がクロロとしてしまった事を
思い出すとその嬉しさも半減した

「捨てられたら
また飼ってやる。
今度は逃がさないけどな」

「うるさい」

クロロとパーティー会場へ戻る
父を警戒していたが
姿が見えなかった

少し食事をし
カモフラージュのためと
1曲だけ踊った
時折腰を撫でる手に
爪をたてながら踊った

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