▼ 早く触れて欲しい
フィンクスに元気をもらったあたしは
部屋へと戻り電話を待つことにした
ぼーっとしていると
手元の携帯の着信音が部屋に響く
「もしもし・・・」
[何してるの?]
イルミの声に手が震える
面と向かえばわかるイルミの雰囲気も
電話だと頼りは声だけだ
「部屋で電話待ってた」
[クロロにアラタと一緒の家にいるなとは
言ったけどまさか別の男の家に置くとはね]
その台詞でクロロのとこからフィンクスの所に
移動になったことは怒ってないようで
ほっと胸をなでおろす
「電話大丈夫なの?」
[大丈夫。今森の中だし]
「え!森の中で試験?」
[そう。あーちょっとまって]
その声とともに電話口から聞こえてきたのは
ひゅっと風の音と何かが倒れる音
[ごめんごめん
ちょっと電話の邪魔されそうになって
ムカついたから殺した]
ちょっとお茶飲んでたみたいな感じに
そんなことを普通に言うイルミ。
それに動揺しないあたしの感覚も
おかしくなってきたのかもしれなお
「そんな簡単に殺していいの?」
[そういう試験だからね
あ、これいらないやつだ]
「ねーいつ帰ってくるの?」
ベットに寝転がり
天井を見つめる
[この試験が1週間あるから
もう少しかかりそう]
「早く帰ってきてほしいのに」
[俺も早く帰りたいんだけど]
「ふふ、キルアは?無事?」
[他の男の話?]
「弟でしょ!」
[俺のね]
「この会話前にもした!」
なんだか可笑しくなり笑ってしまった
[キルは無事。
ねぇ同居人の男って蜘蛛でしょ?]
「うん。でもいい人そう」
[ふーん、惚れた?]
急に声が低くなる
あぁこれは怒ってる
「惚れない。イルミ以外興味無いよ」
[そ、本当にアラタは
変な奴ばっかり引き寄せるよね]
「じゃあイルミが見張っててよ」
[言われなくても。
試験が終わったらね。
覚悟しといて]
「楽しみにしとく」
[そろそろ切るけど
メールしといてね]
「わかった!
おやすみ」
[おやすみ]
電話が終わっても余韻が残る
やっぱりイルミの声は落ち着く。
大好きな人
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