▼ その鮮やかな笑顔の裏で
目が覚めるとそこは
見覚えのない部屋で
ベットの横でクロロが
椅子に座り本を読んでいた
「なにこれ。どういう状況」
「目が覚めたか。2日くらい寝ていた。
フェイがやりすぎた」
「こんなことすると
イルミに怒られるよ」
「そうだな。アラタが仕事を
手伝ってくれれば悪いようにしない」
「何?薄汚いおっさんにでも
身体を差し出せとか?」
「そんなことさせるわけないだろ」
心外だななんて言いながら
本を置き
優しい手つきであたしの頬をなぞる
頬から肩へ手が降りてくる
だめだと思いながら
身体が動かない
枕元からピピっと
あたしの携帯の音がする
それは勿論イルミからだろう
「出てかまわない」
「・・・もしもし」
[アラタ?2日も連絡ないけど
何でヨークシンなんかにいるの?]
あぁここはヨークシンなのか
「・・・クロロに誘拐された」
[やっぱり。ヒソカが言ってた。
ちょっとクロロにかわって]
無言でクロロに携帯を渡す
「俺だ」
何か話合いをしているらしい
クロロを眺めながら
何の仕事だろうとか
クロロ変わらないなとか
呑気に考えていたら
携帯を渡された
[俺が迎えに行くまで
クロロの所にいて。
手出されないでよ]
「うん」
どんな話合いが行われたかわからないが
あたしをクロロの所に
預けることにしたらしい
「早く迎えにきてね」
[試験が終わったらそのまま迎えに行く。
携帯は持たせておくように言ってあるから
こまめにメールでも入れといて]
「わかった」
通話を終え携帯をベットの脇に置く
「過保護だな」
「愛されてるから」
「くく、強気だな」
にやりと笑う口元
その笑い方はこの後ろくな事にならないと
身体に染み付いている
つぅっと背中に冷たい汗が落ちた
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