「もってこぉぉい!!」
彼の試合を見に行って。
彼を応援して。
コートを自由自在に跳び回る。
いや、飛び回ると言った方が正しいだろうか。
烏野が勝利して、会場が大きな拍手に包まれる。
勝ったチームは大手を振って喜び
負けたチームは悔し涙を零す
そんなスポーツマンシップなんてもの
大嫌い
「……あの、日向翔陽くんですか?」
見覚えのあるオレンジ色の髪。
思ったよりも小さい。
「は!はい!」
大きな声で返事をすると、ピシッと立つ。
「さっき見てました。
あの速攻もジャンプ力もびっくりしました。」
「あ!あざぁす!!」
「それでちょっとお話したいんですけどいいですか?」
「?はい。」
私と一緒に歩いていく。
「知らない人についていってはいけません」って教えてもらわなかったのかしら?
好意だと思ってついて行ったら、本当は殺意でした。
なんてよくある話で。
「日向翔陽がいなければ良かったのに。」
小さく呟いてみるけれど、それは周りの音にかき消される。
こうすれば
彼は泣き止んでくれるかしら。
羽をもぎ取る