「大地」
「大地!」
「大地さん!」
「キャプテン!!」




みんなに慕われている澤村大地は
私の知っている澤村大地とは違う人だ

……きっと。




『大地くん。』




彼は何も言わない。
何度呼んでも同じ。

どうして何も言ってくれないの?
冷めた目で、ずっと私のことを見てるのに。
昨日までは答えてくれたのに。


『……ねぇ、大地く「澤村くん。」


「はい。」

ドアが開いて、大地くんはそちらへ向く。
なんで私のことだけ無視するの?


「彼女のことでお話があるの。
先生が呼んでるわ。」

「え…でも。」

「彼女のご両親も、澤村くんに同席してもらいたいって。」

「…わかりました。」


『待って!
私も行くから…!』


そのまま大地くんは行ってしまった。
追いかけたくても、縛り付けられたみたいで動かない。


真っ白な壁
真っ白な部屋

彼に声は、届かない。



冷酷な彼