月島真ん中っ子です
「「……」」
「「……」」
一緒に帰りませんか?と二口に誘われて送ってもらっていたら、バッタリとお兄ちゃんと蛍に会ったのはいいとして…無言のこの状況をどうにかしないといけない!と口を開こうとするとお兄ちゃんが
「…初めまして灯の兄の明光です」
「!はっ初めまして…!二口堅治です…」
灯さんにはお世話になってます!と挨拶してくれた二口にドキドキしながら二人を見ていると、袖をくいっと後ろに引かれた。
「蛍、どうしたの?」
「……姉ちゃん…付き合ってるの?」
「うん、付き合ってるよ」
「……そう…」
少し腑に落ちない様な顔をする蛍に?を浮かべていると、お兄ちゃんが折角ここで会ったんだから家に寄ってもらえば?と提案してくれた。
「「ただいまー」」
「…ただいま」
「…お邪魔します…!」
おかえりーあらこんにちは。とにこにこ笑っているお母さんに挨拶している二口がぎこちなくて、でもしっかりと"灯さんとお付き合いさせてもらっています"と言ってくる二口が凄く格好よく見えた。本人には恥ずかしくて言えないけど…!
「その制服って伊達工だよな?」
「あっはい、伊達工でバレーしてます」
「そっかーじゃあ蛍とも試合した事あったり?」
「…まぁね…」
「えっ蛍、部屋行っちゃうの?」
「…お二人さんが行かないから行く」
「あっじゃあ二口、私の部屋行く?」
「!行っていいなら…」
二口を部屋に連れていったら、何故か凄くきごちなくて何でだろう?と思っていたら、灯さんの弟!と思い出したように言われた。
「えっうん、さっきのは弟だよ」
「違う!いや合ってるけど…!えっ弟、烏野だったの!?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「いや弟いるのは聞いてたけど…!つーかマジか、アイツか…」
「?何かあった?」
「いや何も無いけど…知ってはいるから気まず…」
そんな気にしなくてもいいよ?蛍も気にしないと思うし多分。多分なんだ…!?でも灯さん家仲良さそうだねと言ってくれた二口に、色々あったけど今はね!とお兄ちゃんと蛍の話をにこにこしながら聞いてくれた。
「今日はありがとう、またね。灯さん」
「こちらこそありがとう!またね二口」
二口が見えなくなるまで手を振って見送り、家に入ると蛍にじっと見られた。えっ何かしたかな?
「蛍?どうしたの?」
「…別に…」
「別にって感じじゃないけど…もしかして!焼きもち?」
「…何でそうなるの…違う…」
二口さん性格がさ、ほら。と蛍にしては珍しく言い淀んでいたけれど、言いたいことは何となく分かった。
「…蛍にちょっと似てるかもねー」
「…あーうんまぁ」
「蛍に似てて可愛いところがあるよ!ちょっと素直じゃないところとか」
「…はぁ?」
「二口も蛍も可愛いよね、うんうん!」
「えっ灯俺は…?!」
「お兄ちゃんはカッコいいよ、あっでもお兄ちゃんも蛍も…二口も皆カッコいい!」
「…姉ちゃんやだ…」
「何でだよ、蛍喜べよー!」
「…兄ちゃんデレデレしすぎ」
じゃあ蛍の事褒める大会しようぜー!あっするする!ちょっと兄ちゃん姉ちゃんやめてよ!とリビングに灯された蛍光灯の下で久しぶりに三人でじゃれあった。
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