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殻と膜
きみに愛されたら国が滅んじゃうね
ただの甘噛みよ、恐れないで
さよならを込めて私の名を呼んでください
わたしのうつくしいひと

私の魂を何度か愛してくれ
きみが瞼を開ける時の振動、きみが唇を開く時の振動
わたしよりも長身のあなたはわたしの旋毛も鎖骨も見える
かわいいね、キスしてあげる。私の器はあなたに愛されるためにある
肩甲骨を取り除いてそこに翅を埋め込む。ほら、天使の完成

筋力が衰えて臓器だけになる
愛ゆえに殺されるならカブトガニの毒がいい
抜け殻にキス
思うに、わたしは初恋に似た人ばかり好きになっている
バスタブで揺れてる魂

わたしを離さなくてもいいのよ
羽化したばかりのような面影
美しい接吻の仕方
バニラみたいに溶ける
色彩が奪われていきそう

あたしの卵子ときみの精子、心中させちゃおっか
口周りからミルクの匂いがする
元より持っているもの、硬い歯による原始的な愛撫。きっと大昔から存在していたんだろうな
舌を出せば思い合える
私とこの人には同じ数だけの首の骨が埋め込まれている

きみに恋するわたしは最もわたしらしくある
名前がついていなければよかった。全てにおいて
性行為とは、生肉を味わうこととよく似ている
唇も動かさずに「好きだ」と言うあなた
私はやはり、あなたの私の頬を簡単に包み込めるほどの手で包まれて、目尻を撫でられるのがすき

陽の光が瞼の上で煮えていく
少し考えれば分かることがいつもできない
少し舌が痺れてきた
女臭いベッドルームで
その鼻が好き。皮膚の下に形のいい骨があるなんて嘘みたい

愛も血も呪い、ずっと覚えているから
愛に優しいものは今朝やさしい
愛の理想
余命幾許の
あなたに感染するような快楽

何されても構いやしない。お前を愛するとはそういうことだ
私の人生が私だけのものじゃなくなった時、それが愛なのでしょうね
睫毛どうしが触れ合ってくすぐったいけど、かぎりなく愛撫だね
サロメの唇であれば
絵画 静止された完璧さ

映画二万本くらい一緒にいたい
四半世紀漬けの恋
取り返しのつかない約束がしたいよ
ナルキッソスの行方
わたしの魂には穴がある

たとえばね、ゆびとゆびのあいだがすき
ふと、あなたの爪の美しさに気が付いた
海の向こうから届いているよ
肌のない愛
骨の白というのは死の悲しみを助長させる

切った爪が三日月の形してた
吐息が肌を掠めました
たがいの体温に恋して
面影はこの胸の中
わたしのまゆのなかのしあわせのくに

私に口づけを撃ち落として
私が雪山で惨殺され、その死体が雪で覆い隠されているのを、私は上から見ていました
曖昧なあなたの唇。わたしの舌でちゃんと輪郭を持たせてあげるね
水縹を燃やせ
わたしを解剖したらきっと魚の骨と星が出てくるよ

受胎告知で目覚めよう
果てを砕く
ふたり嵐
蟻の渡る幻影
硬い歯による原始的な愛


あなたへの叶わなかった愛で私は形成されてしまった。生きている限り私は得たものや与えられたものを喰い物にしてしまう。泣いた。

この世にわたくしの愛をいくつも散らばせてきたわ。砕いてきたと言ってもいいかしら。わたくしが居なくなるまでにさがしてみてね

あなたと再会したのはポロアパートで。畳の上にマットレス直引きで、私はタンクトップとパンツのみという情けない格好のまま、顔を強張らせて再会した。

朝顔を育てたあの人は出て行った。半年後、引っ越す時にそれを捨てようとした。花も茎も根もとっくに枯れていて、種だけを実らせていた。なんだかその光景に悲しくなった

あなたが何か過ちを犯してしまっても、もしも大罪を犯してしまったとしても、私は否定も肯定もせずにただ抱き締めてしまうのでしょう。そしてそれを、あなたは一番の赦しだと受け取るのでしょう。私はそれを、それでもいいと思うのでしょう。おまえは可哀想な子だから。

あなたは死の象徴だ、私の性の象徴だ、理想の象徴だ、愛の象徴だ、それら全てが私の穢らわしさを意味する、浮き彫りにする、ただの人間へと剥ぎ落とす。

アダムとイヴを殺した植物園でわたし達は愛を育みました 鬱蒼としたこの場所で濃厚な血のにおいと青臭いにおいにまみれながらわたし達は愛を育み、愛を確かめ合う日々を送っていました 何度目だったでしょうか わたし達は気付いたのです 股から流れる白濁は決してわたし達のものにはならないことを その事実にあの人はわたし達の愛がわたし達を殺したのだと泣きました わたしは、ただ流れ落ちていく白濁に愛撫しました 生温かい粘液質の命が指に絡むとこの行為は紛い物だったのかと思えてきてわたしはようやく涙しました アダムとイヴの遺体がこちらを見ています わたし達はあなた達に憧れただけ、憧れただけだった筈なのに


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