▽ 01
― ねぇねぇ、おじちゃん
― 何だい?
― “ようかい”ってほんとうにいるの?
― また、妖怪が出る絵本でも読んでたのか。…そうだね、叔父さんは居ると思うな
― なんで?
― ん?なんとなく、だよ
大好きな叔父は、そう言って笑いながら幼い私の頭を撫でた。
「(…懐かしい思い出を夢の中で見るなんて)」
ベタな事もあるんだなと思いながら、私はゆっくりと体を起こして伸びをした。そして、胸元できらりと光る石を握った。
このどんぐりのような形をした石のネックレスは、叔父がくれたものだ。見た目は濃い紫色だが光にあてると何故か青紫色に輝く。そこが気に入っているのと、大好きな叔父から貰ったものだからずっと肌身離さずつけている。
「なまえ、起きなさーい!遅刻するわよ!」
下から母の呼ぶ声が響き、私は聞こえるように、はーい!と大きく返事をして急いで身支度を始めた。
下へ下りると既に父、姉は食事を済ませ、出かける仕度をしていた。
「ほら、なまえも早く食べなさい」
テーブルには目玉焼きお味噌汁白米と典型的な朝ごはんが並べてあり、私はいつものように手を合わせて、いただきますと言ってお箸を掴んだ。母の作ったご飯をゆっくりと食べながらテレビを見ていると、用意が済んだ父と姉は行ってきますと言って家を出ていった。
「今日は夕方から雨が降るみたいだから傘忘れずにね」
母は仕事へ行く準備をしながら私にそう忠告し、もう行くからちゃんと鍵閉めといてよと言って母も仕事へ向かった。
「あ、携帯充電したままだ…」
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