指先
「宵風」
「何?」
「夜空が綺麗だね」
どこかの屋上の壁に二人でもたれながら座り、満点の星空を見上げる。
「宵風、」
「…何?」
「私は、君を忘れないよ。どんな事があっても」
「…、」
「だから、消えたいなんて言わないで」
「…君は僕の気持ちなんてわからない」
「そうだね。宵風の気持ち何てわからない。だけど私は…」
「聞きたくない!」
声を張り上げた宵風の手は微かに震えていた。
私はゆっくりと彼に近づき手を重ねた。そして、指を絡めぎゅっと手を繋いだ。宵風も微かだが握り返してくれた。
「宵風も幸せになって…」
「…」
「…寒いね、」
私の呟きは寒空に消えた。
指先のその先は
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