おまけ
おまけ
「ったく、何でこんな所に接着ざっ、……」
突然土方さんの声が途絶えた。
と同時に私の胸に違和感のある感触が襲う。
私はゆっくりと頭を下に下げると、そこには、前のめりの状態になった土方さんが私の胸を鷲掴みしていた。
「………」
「違う!これには訳がっ」
「テメェェェェ!!俺の大事な愛娘に何してんだァァァ!!
俺だって…
俺だって触りてェよ!!」
「いや、触らせねぇよ。つかアンタの娘になった覚えもない」
げしげしと銀さんが土方さんのケツを蹴りまくりながら、離せー!そして変われー!と暴れまわる。
セクハラで訴えるぞ、天パ。
しかし、我ながら驚きだ。胸を鷲掴みにされているのに、全く動じないなんて。まあ、豊満な胸ではなく貧相な胸だから動じないのだと思うが。
「…土方さん、そろそろ離してくれないと警察として、いろいろ不味いんじゃないんですか?」
「分かってるよ、ンな事ァ!でも、剥がれねぇんだよ!」
んぐぐぐぐ!と歯を食い縛りながら、腕を引く土方さん。それに合わせて嫌な音を立てる私の服。
「着物、破れるんですけど…」
「はァ?」
土方さんが声を上げた瞬間、パシャッと効果音が聴こえた。そちらに目を向けると、デジカメ片手にニヤニヤ笑う沖田くんがそこに居た。もう片方の手には、使い切られてぺたんこになった接着剤のチューブを持って。
それを見て私は確信した。
一連の出来事は沖田くんによって引き起こされたものだと。いつものように土方さんを陥れるために。
「土方さんの不祥事、激写でさァ」
「でかした!総一郎くん!」
「総悟でさァ。さて、早速この写真を街中に貼ってきやしょうかね」
ドSな表情を浮かべて土方さんを嘲笑う沖田くんに、私は畏れの気持ちを抱いた。多分、どっかの孫より畏ろしいと思う。
「総悟、てめェ…!!」
「あ…、安心して下せェ。万事屋の旦那との写真も街中に貼っとくんで」
「「うをおおおきたァァァ!!」」
「でかした!沖田くん」
「「でかしてねェ!!」」
(現像したら後で頂戴ね)
嗚呼、実に楽しい毎日だ
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