一万ヒット | ナノ

指切り


「幸村ァァァ!」

「お館さぶぅわああああ!!」

「幸村ァァァァァァァ!」

「お館さぶぅぅぅわわああああ!!」


「まぁーた始まっちゃったよ」

松の木にもたれ呆れる猿飛様。
最初は私も一緒に呆れ苦笑いを浮かべておりましたが、少々暴れすぎのようです。
真田様やお館様が吹き飛ばされる度、壊れていく城壁や灯籠。これを見過ごす訳にもいかず、私はお二方を止めに入りました。

「お二方、お止め…」

「止めないで下され!なまえ殿!」

「しかし…」

「そうじゃ!これは熱き魂のぶつかり合い!其方は下がっておれ」

全く聞く耳を持たない武田様と真田様に、流石に堪忍袋の緒が切れた私は二人を一喝いたしました。

「いい加減にして下さいまし!!灯籠は兎も角、城壁を壊されては困ります!!敵に入られれば危のうございますし、第一この城壁を直すのは誰だと思っているのです!」

掛け声と殴り合いを止め、呆然と此方を見るお二方。ひゅー、なまえちゃんおっかないねえ、なんて猿飛様がおっしゃっていますが、今はそれどころではありません。城壁は至るところに人型のひび割れが走っており、一部の所では完璧に崩れております。
私は、はあ…と大きくため息を漏らすとお二方を見据え、

「女中如きが一国の主に楯突くとは不躾ではございますが、今回はそうもいきません。こう城のものがお二方に壊されては手に負えません。ですのでこれからは、掛け合い殴り合いは余所でして下さいまし。甲斐は広いですし、お二方が好きに使える土地は幾らでもあります。約束出来ますね?」

「う、うむ」

「某も約束するでござる」

お館様と真田様の返事に宜しいと笑顔で頷き、城の者を呼び出して早速城壁の修理に取りかかりました。

指切りげんまん

「いやあ、なまえちゃんはホント凄いね。大将と真田の旦那を手なづけるとはさ〜」

「…猿飛様も猿飛様で、新しい忍具の開発のせいで城内の一部を破壊しているのは重々承知してらっしゃいますよね?」

「善処します…」

「宜しい」

(女は強し)
prev / next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -