檻の中のウサギ
「それと、あれと…あとこれも宜しく!」
かなりの長身の男性が私に次々と書類を渡してくる。しかも、かなりの量だ。
「これ全部処分してくれないかな?」
あそこにシュレッダーあるからと、へらっとした笑顔でそう言う。私は無言で頷き指示に従って書類をシュレッダーにかける。
「キミは働き屋さんだねえ」
彼、齋藤至コーチが書類をペラ読みしながら、感心するよ〜と言った。
「そりゃあどうも」
ひたすら書類をシュレッダーにかけながら、はあと大きくため息つく。何で私がこんな事せにゃあならんのだ…。
「あ、これ書庫に仕舞ってきて貰えないかな?」
やっと一通り書類の処理が終わった後も、またもや雑用を押し付けられた。
なんかもう兎に角家に帰りたい。ひとっ風呂浴びて風呂上がりに炭酸を飲んで、あー!ってしたい。なんて思っていると一枚の紙切れを渡された。
「これ地図ね。テニスコート跨いで行かなくちゃいけないから、くれぐれも気をつけてね〜」
そう言って重量な書類を手渡された。
(私を解放してくれ)
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