期間限定彼氏

※現:高校生で氷帝学園の卒業生。跡部達とは知り合い設定。


「大当たりいいい!!」

抽選会で鳴らすようなベルをガンガン鳴らす先生と地が割れるような女子達の叫び声にただただ立ち尽くした。
そして右手に握られている全ての元凶となる紙を握り潰し、床に叩きつけた。

「要るかあああ!!こんなもんんん!!」


王子様達と村人D


事の発端はこうだ。
人気を博している氷帝学園テニス部が人気になり過ぎて頭が可笑しくなったのか、こんな企画を提案してきた。その名も、

『1週間だけ氷帝学園テニス部のメンバー 一人と付き合えるぜ!プロジェクト!』


…センスの欠片もない題名だ。ま、そこはさておき。その変な企画を始めだしたせいで街全体が大騒ぎになった。
それは何故かと言うと………これからの説明を聞いて個々で想像して頂きたいと思う。


それではこの企画の説明に入ろう。

題名通り、これは氷帝学園テニス部のメンバーと付き合う事が出来るイベントだ。その権利を得る事が出来るのは、たったの六名。言わずもがな氷帝学園テニス部は大層人気でファンも多い。それは氷帝学園だけでなく、その地域一体にも及んでいる。下は幼稚園から上は大学、そして一般。
もし学園内だけで選出しようものなら文句の嵐だ。熱狂的過ぎるファンだと学園に苦情電話やファックスをかけてくるだろう恐れがある。故に、幼稚園 小学 中学 高校 大学 一般の部から一人ずつ選出する事になった。その選出方法はくじ引き。勿論、不正が行われないよう考慮してあるらしい。
但し、題名にも書かれてある通り付き合える期間は一週間。一週間を過ぎたら元通りになる。だから一週間を過ぎても彼女面していたら問答無用で制裁の餌食に………てな感じだ。ちなみに一般の部では誰でも参加出来るらしい。例えおばさんでも男性でも。あと、当たると破棄は出来ないみたいだ。


無論、こんな下らない企画に不服を唱える者はそう少なくはなかった。だが、そんな不服は直ぐにかき消された。何故なら、氷帝学園のテニス部部長であり生徒会長の跡部景吾があの手この手で不服を解消させてしまうからだ。
例ばこの企画に全く利益を得ない男子達。彼らは奴に不服を申し立てたが奴によって上手いこと丸め込まれ渋々了承。恐らく部活予算を上げるとかなんとか言われたんだろう。
勿論、女子の中でも不服を言うものも居たが、抽選に参加するかしないかは自分次第なのでそこは当人の自由。


ちなみに私は面白半分でそれに参加し、くじを引いた。まあ、大半の女子は私と同じで面白半分で引いていると思う。だって中坊と付き合うなんて無理無理という人ばかりだもの。でも相手は中坊でもイケメンだからお姉さま達の目が無意識にギラついてしまうのは否めない。
勿論、中には本気の人も居た。主に氷帝学園の中等部の頃から憧れていた子等ばかりだったが…。くじ引き当日、くじを引く彼女らの目が真剣でとても怖かったのは言うまでもない。

で、面白半分でくじを引いた私はまさかの当たりを引いてしまい、女子達の叫び声と睨みにみるみるみるみるHPが減っていった。だってまさか当たるとは思ってなかったんだよ!倍率はかなり高かったから絶対に当たんねぇなって思ってたんだよ!なのに、なのに何故!!



「何故貴様等は四天宝寺、青学じゃないんだああああ!!貴様等より四天宝寺か青学……主にリョーマくんと金ちゃんが良かったのにいいいい!!ショタコン嘗めんなよおおお!」

「誰も嘗めてねぇよ」

「あの二人とならきゃっはうふふ出来るけど君らとか……ないわ。だからこんな権利要らんんんん!!」

バシン!とくしゃくしゃになった紙を机に叩き付けると長身な鳳に泣き付いた。そんな私の頭をよしよし撫でてくれる優しい鳳を見上げる。コイツの身長が小さくて童顔だったら確実に落ちてたな、私。

「長太郎!離れろ!変態が移る!」

「さっきから聞いてりゃあ、うるせぇぞ宍戸!私知ってっかんな、生意気そうでボーイッシュな子が好みだって事を!」

ぶわっはははと笑いながら鳳の背中に避難する。宍戸はわなわなと肩を震わせ、何で知ってるんだ!と顔を真っ赤にさせ怒った。

「嘗めんなよ。女子の情報網を!ちなみに跡部は勝ち気な子、忍足は「足が綺麗な子、やな」うん、分かったから。分かったから背後から耳元で囁くな。えろい」

色気を放つ忍足の顔を退け言葉を続ける。

「鳳は浮気しない子で、向日はノリの良い子。日吉は清楚な子で芥川は明るくて楽しい子」

合ってる?とニヤリと笑みを浮かべれば、全員が戸惑いがちに頷いた。てか、寧ろ引いた顔している。芥川に至っては女子怖いCーと跡部の背後に隠れてる。

「兎に角!こんな権利要らん!あっでもリョーマくんか金ちゃんと一週間付き合えるなら要るけど」

と鳳という盾からこっそり顔を出し、期待するような目で跡部を見ると、奴は額に手を当ててはぁ…と大きな溜め息をついた。

「…お前も知っているだろうが、この権利は破棄出来ない。無論、越前や遠山を呼び出す事も出来ない。ちなみに、幼稚園の部ではジローが選ばれ初等部では向日、中等部では宍戸、大学の部では日吉、一般の部では樺地が選ばれた」

「?!かば…え!」

跡部の衝撃的な言葉に驚いて樺地を二度見した。樺地を選ぶって相当なマニアッ…いや、それは個人の好みの自由なんだが……。
私はもう一度樺地を見ると彼はいつも通りウッスと言うだけだった。


「で、その結果残ったんは、俺と跡部と鳳だけや」

「え、じゃあおおと「俺様だよな?」

「いや、おおと「なまえ先輩、俺やんなぁ?」


「……まじ爆発しろ。ナルシとエロ眼鏡」


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