古びたアルバム番外編
短いです。
悪党の話の時の高杉の台詞を拝借いたしました。
『この鬼兵隊の名…捨てるワケにはいかなくてね』
俺が何故、阿呆提督にこんな事を言ったのか。
“思い入れがある”
が第一の理由だ。だが、もう一つ理由がある……。
『晋助、ずっと思ってたんだけど“きへいたい”ってどう書くの?』
『あ?…あぁ、こうだ』
俺は地面にしゃがみ込み、土に“鬼兵隊”と書いた。
なまえは、俺と一緒にしゃがみ込みながらへーっと呟き、強そうな名前ねと笑った。
『ねぇ、晋助』
『あぁ?』
『…何があっても“鬼兵隊”はなくならないよね』
なまえはそう言って、もう一度地面の字に目を向け、そして戦から帰ってきた兵士達を見て淋しそうに笑った。
『…俺が守り抜いてやるさ』
俺は、誓うように刀の柄をぐっと握った。
なまえはそんな俺を見て、微笑み
『約束ね』
夕焼けの空を見上げて、小さくそう呟いた。
(俺は、アイツと自分との約束を違(たが)う訳にはいかねェ)
(例えあの時と歩む道が違えども)
君との約束