■ 坂田と私とダンボール
「お届け物でーす!」
家のインターフォンが鳴り、出てみれば大きなダンボールを台車乗せた配達員さんが営業スマイルを浮かべながら、こんにちはと立っていた。私は、ぺこりと頭を下げ荷物に視線を送る。何か注文してたっけ?いや、もしかしたら実家からかな?なんて考えていたら、宛先は不明なんですよと配達員さんは笑った。え、怖いんですけど。
「大丈夫です。宛先不明だったので職権で開封させて頂いたのですが危険物は入っていませんでした」
「はあ。あの中身は…」
「ではここにサインを」
「あ、はい。……てっ、いや中身は」
「毎度ありがとうございました!」
「え、ちょ!」
サインを書いた紙を受け取った配達員さんは台車を置き去りに爽やかな笑顔を浮かべ、パタンと扉を閉めた。何だか扉が閉まる音が嫌に部屋中に響き渡り、つつーと冷や汗が一滴こめかみを流れた。
…開封したのに何で中身は教えてくれないの?!怖いじゃんか!絶対文句を言いに言ってやる!
と心の中で叫びながら、未だに台車に乗っているダンボールを見下ろす。安全が確認されているというのにまだびびっている自分のチキンハートさに泣けてきながら、汗が滲む手でゆっくりと慎重にダンボールに触れた。そしてガムテープを勢いよく引っ張りがばっとダンボールを開けた。
「…………………」
私は無言でばんっとダンボールを閉じた。
変 な の 入 っ て た !
いっいいいいいや、きっと目の錯覚だ。目が疲れてるんだ。うん、絶対そうだ。きっとそうだ。
もう一度ダンボールを開けた。
「よォ、お届け物こと銀さんでーす」
「ど、どうも」
何で銀さんが入ってんの!?
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