「おお、こた!元気にしてたか」

公園で待ち合わせしていた虎太郎の頭をわしゃわしゃと撫でる。もちろん羨ましそうに此方を見ていた秋くんの頭も、わしゃわしゃと撫でた。

「何して遊ぶ?」

「けいどろがいい!」

「ケイドロ?」

こくんっと頷くちびっこ達。

「3人じゃつまんないし佐藤たちも誘おうか!」

よし、誘ってこい!と背中を押せば元気にブランコにたむろっている佐藤たちの所まで走っていった。


「6人でドロケイすんのか?」

「うん。ドロケイじゃなくケイドロだし」

あ?ドロケイに決まってんだろ。違うよ、ケイドロだよ!と鈴木と言い争っていると平介が、どっちでも良いんじゃない?とヘラヘラ笑いながらそう言った。

「お前はどっちでも良いかもしれないが」

「ここは、白黒はっきりさせなきゃいけないんだよ!」


「なあなあ、そんなことより早くやろうぜ!」

「そうだよ。言い争うならあとで!」


ほら、じゃんけんするよ!と佐藤ブラザーズに急かされ、鈴木と私の争いは一時休戦となった。


「じゃあ、私と秋くんが警察ね」

牢屋はブランコ、公園から出ちゃダメだからねえと30秒数えながら彼らに向かって叫ぶ。

「「さんじゅう!」」

「秋くん、行くよ!」

「うん!」

私は距離的に近い所にいた鈴木に向かって走り、秋くんはすべり台の上にいる虎太郎に向かって走っていった。



「鈴木捕獲!」

「お前、足、早すぎっ」

息絶え絶えの鈴木を問答無用でぶた箱(ブランコ)に放り込んだ。すでに虎太郎は捕獲済みで、つまんねーと拗ねていた。やるな、秋くん。

「次は佐藤、お前だ!」

「げっ」



「佐藤も捕獲!」

「なまえ、もしかして、男?」

鈴木のように息絶え絶えになりながら失礼な事をいう佐藤。

「れっきとした女ですー!」


「へーすけ、まって」

視界の端では秋くんが頑張って平介を捕まえようとしている。でも、彼は猫のようにふらふら逃げ回って上手いこと秋くんから逃れている。

このままじゃ、埒があかんな。


「へーすっけくーん」

両手を広げ平介の逃げ場所をなくす。前には私、後ろには秋くん。


「いけー秋くん!」

「あ、」

「つかまえた!」

秋くんは私の合図と共に平介の腕を掴んだ。

「全員捕獲じゃーい!」

私は小さなお手手の秋くんとハイタッチした。