「佐藤出てこいやァァア!」

「この女がどうなってもいいのか?!」

「いやーん、誰が助けてー」

何だ。あの校庭にいる10人とバカ1人。しかも何がいやーんだ、全部棒読みじゃないか。呆れすぎてため息すら出ない。

平介も、おーとか言ってるし佐藤に至っては目の下を暗くして固まっている。

「俺、行ってくる」

「行っても良いけど、窓に足をかけるな!ここ二階だぞ?!」

校庭へ向かおうと窓に足を引っ掻けている佐藤を止めていると、平介が大丈夫だよと言い出し、ハァ?と声を上げると、どっから出したのかラッピングされたパウンドケーキを出して、それを左右に揺らした。

「なまえ、これ欲しい?」

いつもより大きな声を出してなまえを誘惑すると、凄い事が起こった。

「うっ」

なまえは、あり得ない速さで10人を気絶させ、へーすけーおくれよー!とへらへらした笑顔でこちらに手を振った。


「…俺、アイツの食い意地には呆れる以前に怖いわ」

「うん」

「はは、そう?あっくんより扱い安くて良いよ」

「「…」」

「早く頂戴ー!」