夢うつつ | ナノ

急な展開に?

「落ち着いたか?」

「は、い…」

未だにしゃっくりを上げる胃に冷たいアイスを送り込む。このアイスは銀さんが奢ってくれた。第一私お金ないし。それに私の財布ちゃんは今は三次元の私の教室の私の鞄の中で眠っている。



私はゆっくりアイスのスプーンを置くと、

「町中であんな大声で泣いてしまってすみません…」

と謝った。そして急に恥ずかしくなった。町中で大声で泣いてしまった事に。…ほんと何やってんだ。


「いいのいいの。もし悩みがあるんならこの銀さんに相談してみな」

パフェを食しながら、気楽にそう言う銀さんに、やっぱ懐ひれーなと感動した。もうホント銀魂の中で一番…いや、一番は定春か。二番目に大好きだよ。


「…話すと長いんで要約すると、無一文で家も頼る人も居らず、帰る場所はあるけどもどうやって帰れば良いのか分からなくて…そんで……」

勝手に紡ぎ出る言葉にハッとした。そうだ。トリップをしたは良いけど肝心の帰り方が分からない。

緩んだ涙腺からまたポタポタと雫が落ちた。


…お母さん、お父さん、ポチ!私家に帰りたい!けどまだ此処に居たい!けど帰りたい!
そんな矛盾に悩んでいると、銀さんが深くため息をついた。

「…アンタ名前は?」

「名字…なまえです」


情けない声でそう言うと、銀さんは、なまえねぇと呟いた。あ…銀さんに名前を呼ばれるだけで何か気持ちが楽になった。なんて少しほわほわしていると、銀さんがニッと笑い

「ウチで拾ってやるよ」

と言った。一瞬何の事か分からず

「何を?」

と聞いたら、おめぇをだよと指差された。



Q、急な展開に?

A、ついて行けません!

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