突然のことだったので何もプレゼントを用意していなかったことを伝えると、彼は少し考えた後、名案を思いついたように明るい表情でこちらを見た。
「あえて言うならお前のオナニーが見たい」 「……ん?」
あまりに晴れやかな表情だったので、理解するのに時間がかかった。できれば聞き間違いであってほしい。手を挙げて、質問してみる。
「はい、先生」 「何かな、なまえ」 「私のオナニーが見たい、と聞こえたのですが、気のせいでしょうか!」 「気のせいじゃないよ」
してよ、オナニー。 吐息を混ぜた声が耳をくすぐって、ぞくぞくした。 この声に私が弱いことを知っててやっているのだから、タチが悪い。
「…む、無理無理無理やめてそれだけは勘弁して」 「えー、お兄さん誕生日なのに?」
必死に思いとどまらせようとする私の尻を撫でながら、早く、と急かしてきて。傾きかけている心で最後の抵抗を試みる。
「…フランシスに見られてなんて、できないよ」 「大丈夫だよ、大丈夫。なまえならできる」
それに寝室なら、あまり見えないだろ? 自信満々で言う彼に、なんとなく寝室なら見えないような気もして、まんまと騙された私は寝室へと連れ去られた。
─その自信はどこから─
(え、電気消さないの?見えるよ?) (うん、見えないと意味ないでしょ)
2011.08.05 遅いにもほどがある誕生日ねた。多分続きます。
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