くまさんの何が悪い






「やーいやーいお前の料理産業廃棄物ー!」
「っんのやろ…!またボコられてえのかゴルァ!!」

朝っぱらから騒がしいリビングに顔を出してみると、珍しい眉毛と特に珍しくもない変態が口汚く罵りあっていた。朝から迷惑な連中だ。
欠伸をかみ殺しながら、同じく気持ちよい眠りから無理やり覚まされたであろうアントーニョに近づく。

「…なにあれ」
「多分客やろ。あの眉毛、お前に会いにきたんちゃうん」

ちゃちゃっと追い出してえや。ぎゃあぎゃあうっさいねんあの眉毛。
アントーニョの欠伸がうつって、視界が滲んだ。できることならこのまま部屋に戻りたいけれど、この喧嘩が発展して眉毛に台所を壊されたりしたら(フランシスが)悲しむだろう。
彼が落ち込むのは一向に構わないが、美味しい料理が食べられないとなると話は別だ。てくてくと喧嘩の真っ只中に歩を進める。六弦眉毛がこちらに気づいたらしく、口を開いた。

「…ひ、久しぶりだな!別にお前に会いたくて来たわけじゃ」
「久しぶり眉毛。剃刀あげるから帰ってくれると嬉しいな」

相手をするのも面倒なので、とりあえず剃刀を渡し、帰るように促してみると、悲しそうに眉毛が下がった。感動を覚えるほどに立派な眉毛だ。早く剃ればいいのに。

「トーニョ、部屋戻ろう」
「あ、っおいなまえ!」

言うことは言ったので、立ったままうとうとしていたアントーニョの手を引いて寝室へと引き返す。途中、慌てたような眉毛ボイスが聞こえて振り返ったのだが、私のパジャマを見て変な顔をしたので、無視しておいた。




─くまさんの何が悪い─
可愛いじゃんか、くまさん

(…………)
(…………)
(……………)
(……勃った?)
(勃ったに決まってんだろふざけんなクソ)


2011.07.27

くまさんのパジャマってみんな3着は持ってますよね。私だけじゃないですよね。

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