だって若者ですから





「なまえ!俺が誰だかわかるかい?」
「え、アルかな…?」

正解だ!
そう言って楽しそうに笑う彼につられて笑う。
だって、今この家には私と彼しかいないわけで。
それを伝えると、照れたように笑った彼は電話をかけ始めて。

「Hello,これから会議あるって言ってたけど、」

なまえといたいから休んでいいかい?
突然のことに驚いたのは、あっちも同じらしい。
一瞬の間があった後、私にまで聞こえるくらいの大声が聞こえてきた。

『なまえと……て、許せな…る!』
「いいじゃないかー」

アーサーにもう一回かわってくれよ。
多分、電話から漏れてきた声は耀さんのものなのだろう。
少しして、やっとアーサーにかわったらしい相手に呆れられているのがなんとなくわかる。

「アーサーは恋人がいないからわからないだろうけど、」

俺はなまえと一緒にいたいんだ。
その言葉に、どくん、と心臓が高鳴ると同時。
突然鳴ったインターホンに私は急いでドアを開けに行った。




─だって若者ですから─


(あれ…菊は今日来る約束だったの?)
(いえ、カークランドさんに頼まれて…)
(アーサーの奴、俺がキクの言うことなら何でも聞くと思ってるんだな!)

(俺は今日はなまえと家にいるって決めたから行かないぞ!)
(若いっていいですね…)



2009.11.16 修正

菊の言うことを聞くって駄洒落みたい。



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