「っは、はぁっ…」
何度も何度も角度を変えて口付けられて、やっとのことで解放された口で急いで酸素を取り込む。 何度胸元を叩いても髪を引っ張っても全く動じなかったどころか、抵抗すればするほど楽しそうに目を細めて解放してくれなかった自称紳士のエロ魔神は、息を乱しもせずこちらのYシャツに手をかけて。一息に左右に引く。 他に比べて腕も体も細い彼のどこにこんな力があるのだろうか。引きちぎられたボタンが床に落ちていくのが見えた。
「なに、今日は乱暴にヤりたいわけ?」 「ああ、今すごくお前のこと泣かせたい」
いつものように「パイレーツオブ眉毛(笑)」とからかう暇もなく、乱暴な手がブラをたくしあげ、違う方の手が秘裂をなぞりあげる。 触れてくる手が異様に熱い。もしかして。
「薬、盛られたの?アーサーがそこまでなるなんて」 「…っらしいな、しかもとびきり効果が高くて長いやつだ」
なんで知ってるんだ、という突っ込みはこの際なしにしよう。無性にムラムラしたときのために、彼が周りの妖精たちに頼んで薬を集めていたことはわかっていたから。 でもまさか、今使われるだなんて。 当人も、信じられねえ、とか、なんで俺が、とか言っているあたり、誰かに仕掛けられたのだろう。
「舐め、ろ、なまえ」
先程より明らかに息が荒くなっている彼が、器用にベルトを外しながら私の手を昂ったものに導いた。 下着越しとはいえ、普段とは比べ物にならないような熱さと大きさに一瞬怯むが、そんなことも言ってられない。 床に膝をついて下着をずり下げ、先だけでもとぱくりと口に含む。 先端に舌を押し付けながら吸ってやると、更に質量を増した。これ以上大きくしてどうするんだろう。 苦しさに涙が溜まる私に、悪い、と小さな声が落ちてきた。後頭部を固定され、何度も喉の奥まで突き込まれる。
「んぐっ…!」 「っ、ぁ…ッ」
達する瞬間に引き抜いたらしく、顔が汚される感覚に眉をひそめつつ、かかった飛沫を掬って舐める。相変わらず不味い。飯も不味ければ精液も不味くなるものなのだろうか。
「…あの、さ、また大きくなってない?」 「そうだな」
適当に流された上に、彼によって後ろに押されて脚を開かせられた。 ぐしょぐしょに濡れた下着を剥ぎ取って、これだけ濡れていたら入るんじゃないか、なんて言いながら膝を抱えられる。まさか。
「…やっぱり、慣らさないとキツい…な」 「入らない…ってば…」
普段じっくり慣らされてもすんなり入らないというのに、それがないのだから入るはずがない。
「おっきい、よ…っぅああ!?」
ズン、と一気に突かれて痛みと快感が入り交じった感覚に目の前が白む。 入ったらこっちのもんだとばかりに笑みを浮かべたアーサーが、腰を掴んで容赦なく揺さぶった。
「ふ、あぁっ、あっ!」 「悪、い」
ガツガツ奥を突かれて息をする暇もない。苦しいくらいに折られた体はもう、痛いくらいの快感に限界だった。
「あ…っアーサー、アーティ、だめ、いく…───っ!!」 「……ッ!」
面白いくらいに腰が跳ねて目の前が真っ白になる。 遅れて精を放ったアーサーが荒く息を吐き、隣に転がった。 結局床で行為に及んでしまったため、周りは汗やら何やらで大変なことになっている。
「そうじ、しないとね」 「その前に、シャワーだろ」
苦笑混じりの声に、こちらも眉を下げてみせる。 ──シャワールームでもヤるんだろうなぁ… 大分薄れた薬の効能が切れるまで体力が続くのか、それだけを心配して、優しくて乱暴な恋人の胸に擦り寄った。
─紳士的だと笑わせる─
(腰痛い。声出ない) (何が欲しいんだよばかあ!)
2011.05.08
ねちっこいプレイになるはずだった
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