嘘か真か







ザァァ、さっきまで晴れていたのが嘘のように本降りになりだした雨に、慌ててコンビニに駆け込む。
ずぶ濡れで入ってきたせいで店員の視線が痛いが、気にせずに店内を物色していると、デザート売り場に見知った制服。
顔に見覚えがある、が、誰か思い出せない。
誰だっけ、確かいつも生徒会として色々な行事に出ていたような気がする。
挨拶は会長で、その隣だから…

「副会長…だっけ…?」
「…ん?」

横顔を見つめているうちに、こちらを向いていた彼と目が合う。
気まずい。青い目が何かを思い出すかのように細められた。

「3年のなまえちゃん…だったかな?」
「え…何で、私の名前」

生徒会だから生徒の名前がわかってもおかしくはないけれど、何だ、この感覚。
クラスメイトがきゃあきゃあいっていた整った顔から目が離せない。
誰かに似てる。昔、仲がよかった誰かに。
でもそれは女の子だし、親戚なのかもしれない。

「ええ、と、勘違いだったらごめん。フラン、って子の親戚…?」
「いや、違うよ」

くすくすと低めの声が笑う。笑い方もそっくりだけど、親戚ではないらしい。

「あ、ごめん。なんか昔の友達に似てたから」
「いいよいいよ」

だって、それ俺だし。
知らないうちに手に持っていたシュークリームが床に落ちる。
落としてるよ、そう言ってシュークリームを拾ってくれた相手は、何度見ても男にしか見えなかった。




―嘘か真か―

(え、あ、フラン、女の子じゃ…!)
(はは、昔よく言われたよ)


姫仏の可愛さは異常

2011.04.17

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