専属カメラマン






うわぁ、よう撮れてるわー。
寝ぼけた意識に入ってきたその言葉に目を開くと、何やらテレビに釘づけになっている二人。
何見てんだ、
そう訊こうとしてふいに見えたものに、頭の中が真っ白になった。

「て、めっ…」

顔がまるで火を噴いたように熱くなる。
ばたばたと画面まで走り寄り、電源を、消して。

「いつ、撮ってたんだよ」
「いつって…」

昨夜のだけど。
さらりと答えたフランシスの髪を思いきり引っ張る。
最近新しくしたテレビの画面では、先ほどからなまえの白い肢体が跳ねていて。
そのまわりにいる男3人に弄られているということがよくわかる。

「ギルちゃんもノリノリやったし、大丈夫かなーて」
「確かに酔ってたけどよ…」

まさかそんなことするとは思わねぇだろ。
酔っていたとはいえ、恋人の痴態をここまで撮られていれば、誰でもこうなるだろう。
フランシスの髪を握っていた手を離し、もう一度テレビを見る、と、ものすごく重要なことに気がついた。




─専属カメラマン─


(これ、誰が撮ったんだよ)
(え、菊だけど)
(は…?)
(知らんかった?俺が呼んどいたんやでー)


2010.03.18
何をしている祖国。



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