「あれ、フェリ」
背伸びたね。 くい、制服の裾を引いてやるとくるりとこっちを振り返る彼の顔は、春に見たときよりも上にあるように感じた。 昔は私と同じくらいだった彼は、もうとっくに私の背丈を追い越してしまって、見た限りでは、頭1つ分くらい違うと思う。
「身長差どのくらいだっけ?」 「ヴェー?多分、17センチじゃないかな」
にこにことするフェリシアーノを見上げる。 17センチか…間近で見ると首が痛くなるのも仕方がない。 キスしてよ、小さな声で言うと、少し屈んでくれる。 そして、ちょうど私が背伸びをしたあたりで唇が重なって。 触れるだけだと思って油断していた唇の間を、にゅるりと何かが侵入してくる。 それがやたら巧くて、呼吸もできない私は身体を支えきれずに踵を地面に着けた。 濡れた音を立てて、互いのそれが離れる。
「っは…」
普段はヘタレなくせに、こういうときはやたら色っぽくなる彼はずるい。 力が抜けてしまった私の腰を支える腕は強くて、馬鹿みたいに男を意識させた。
「あ、顔赤いよ?」
そう言って笑顔を向けてくれる彼の胸元に、熱くなった頬を押し付けてやったけど。 それは逆に、彼をその気にさせるだけなのでした。
─成長期なんだ、─
(今日は積極的だねー) (これは、違っ…) (俺のうちに泊まってく?兄ちゃんいるけど)
2010.02.01
理想的な身長差が17センチらしいということを聞いたので書いたもの。
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