あんたなんて、フランシィにすぐ捨てられるわよ! ついさっき、彼の家の前にいた子が叫んでいた言葉が頭の中に浮かんで。 胸の中がもやもやと気持ち悪くなる。
「なーにがフランシィよ」
ガチャ、と少々乱暴にカップを置くと、困ったような笑いが返ってきた。
「怪我したら大変だよ」 「こんなの大丈夫よ、」
フランシィ、 いやみったらしい響きを無理やりに笑顔にのせて振り向いてやれば、驚いたような彼の顔。 でも、いつものでれでれした顔に戻らなくて不安が募る。
「子猫ちゃんにでも会った?」 「何、が」
気がつけば、いつもでれでれしているフランス男は泣き出しそうな表情で。 こっちの方が泣きたい気分よ、そう言う前に温かいものが目から零れ落ちた。
「どうしたの」 「関係、ない…っ」
ぐ、と壁に押しやられた私の視界の端で、彼自慢の金の長い髪がさらさらと流れて。 目の前には、少し怒ったような彼の蒼い眼。
「言っておくけど、」
俺だって好きな子には一途だから。 重なった唇と珍しく真剣な声音に心臓が高鳴ったのもつかの間。 空気の読めない来客たちによって甘い雰囲気はぶち壊されたのでした。
「HAHAHA!遊びに来たんだぞ!」
─わざとですか─
(フランシスのアイスを食べに来たんだぞ) (全く、これだからお前はメタボなんだよ!) (うわ…わざとだろお前ら) (え、何のことだい?)
2009.11.16 修正
うちのアルフレッドくんは邪魔が大好き。
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