妄想は余所で







例えば、俺となまえがマンションで2人で暮らすとしよう。
帰宅ラッシュで混み合う電車に揺られて俺が帰る。そしてドアを開けると、なまえがいるわけだ。
おかえりー、なんつってさ。胸元にひよこが大きくプリントされたエプロンなんて着て迎えてくれんだよ。
ごはんできてるよ、その前にお前だな、もうギルちゃんやだー、みたいな。そんな感じで喋って、結局飯食って風呂入ってセックスして寝てえ。
そんで2、3人子供欲しい。息子は厳しく育てて、娘はすんげえ甘やかす。なまえに似た娘だったら、嫁に行くとき泣くかもしんねえわ俺。まじでまじで。

一気に喋った俺に対し、幼馴染の二人組みは顔を見合わせた。
どうやら、俺の考えが素晴らしすぎてコメントができないようだ。

「ギルちゃん、一つだけ言うてもええ?」
「俺も、一つ言わせてもらおうかな」
「おお、いいぜ」

いいアイデアだ、と褒めてくれるのだろうか。それとも、なまえは俺のだ、なんて言って奪い合いが始まるのか。どちらでも楽しそうだ。
わくわくしながら続きを促す俺に、野郎二人が微笑んだ。




―妄想は余所で―

((お前めっちゃ気持ち悪いわ))
(なんでだよ!!)



2014.03.24

妄想乙、という話。

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